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混迷続くバレー界… 会長不在、新リーグ構想は停滞

木村氏は会長を退任した=共同

2020年東京五輪でのメダル獲得を目指す日本バレーボール協会が、会長不在という異例の事態に陥っている。6月14日に開かれた評議員会で、会長を務めていた木村憲治氏(71)が理事選出に必要な過半数の票を得られなかった。木村氏を含む20人が理事候補として評議員会に諮られたが、木村氏だけが選任されなかった。日本協会では前々任の中野泰三郎氏、前任の羽牟裕一郎氏が会長としての信任を得られず退任。3期連続で協会トップが交代することになった。

木村氏は1972年ミュンヘン五輪金メダリストで、15年に会長に就任。日本協会の財務状況の改善に取り組み、昨年度の決算は過去最高となる約4億9500万円の黒字を達成、これは11年の公益財団法人化以降で初の黒字だった。そして昨年9月の規定改正では、会長経験者に限って理事選任時の年齢が「70歳未満」から「75歳未満」に引き上げた。会長再任は既定路線とも考えられていた。

代表チーム強化に混乱も

15日に開かれた臨時理事会では複数の理事から「拙速に会長を選任すべきではない」との声があがった。新会長の選任には至らず、協会理事で事務局長も務める林孝彦氏(57)を会長代行に選任した。木村氏が理事に選出されなかったことは想定外のこと。林会長代行は「(理由は)把握しきれていない。評議員に聞ける範囲で聞いていきたい。活動業務の説明がきちんとできていなかったかもしれない」と戸惑いを隠せないでいる。

会長人事を巡る混乱が長引けば代表チームの強化に混乱をきたす恐れがある=共同

東京五輪が3年後に迫る中、会長人事を巡る混乱が長引けば代表チームの強化に混乱をきたす恐れがある。林会長代行は「空白をつくらないために代行を置いた。大勢に影響がないようにしたい」と話す。新会長選任の期日については明言しなかったが、「半年、1年ではなく数カ月で対応したい」。五輪に万全の体制で挑むためにも一刻も早く、体制を確立する必要がある。

日本協会が混迷する一方で、代表の基盤となるV・プレミアリーグの改革の行方も視界良好とはいかないようだ。5月31日には18年秋開幕のV・プレミアリーグの改革案が日本バレーボール機構(Vリーグ機構)から発表された。改革の目玉はこれまで各都道府県バレーボール協会が持っていた試合の開催権を各チームに譲渡し、ホームゲームを増やすこと。チームが収益を得ることでビジネスとして確立することを目指すとしている。

改革案ではトップリーグのチーム数を現在のV・プレミアリーグの男女各8チームから男子10、女子12に増やし、女子は東西のカンファレンス制を採用するとした。チーム名には企業名、ホームタウン名のどちらも使用可能。初年度は1チーム5~8試合のホームゲームを行う。ホームゲーム数は順次増やし、将来的には完全ホームアンドアウェーによるリーグ戦開催を理想としている。

改革案、プロ化に触れず

その上で新たにライセンス制を導入。ライセンス取得に際し、各チームには自治体からの支援を約束する文書の提出を義務付け、地域に根ざした活動を推進する。また参加各チームの財務状況なども調査する。ただ、今回発表された改革案ではビジネス化という言葉は強調するものの、プロ化については触れていない。

新リーグ構想は大幅に見直すことを余儀なくされた=共同

昨年9月に発表された「スーパーリーグ構想」では現行のリーグとは別の形でリーグを立ち上げ、各チームの運営はバレーボール事業を行う独立した法人が行うとしていた。試合は完全ホームアンドアウェー制で将来的なプロ化も視野に入れていた。これは一部のチームの賛同は得られたものの、全体としては反発も強く、構想を大幅に見直すことを余儀なくされた。

その結果、企業の部活動から独立したクラブまで多岐にわたる各チームの実情に合わせることになった。「企業スポーツのいいところは残しながらビジネス化を目指す。お客さんをどう呼ぶかチームに主体的に考えてもらう」とVリーグ機構の嶋岡健治会長。改革案について議論を重ねたことで「現状ではいけないという共通認識は(各チームに)持ってもらえた」と意義を強調する。

チームの中には営業活動が難しいものもあり、その場合は試合の開催権を都道府県協会やイベント会社に再譲渡して運営を委託することも可能だという。複数のホームタウンを希望する企業に合わせ、3つまでホームタウンを認める方針だ。こうした状況下ではチームがどこまで主体的に試合の運営に関わり、地域との連携を深められるか未知数だ。サッカーのJリーグやバスケットボールのBリーグが地域との連携を深めていく中で、果たしてもくろみ通りにうまくいくだろうか。

(馬場到)

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