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高橋監督の野球が見えない 欠けるトータルな視点

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2017/6/18 6:30
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 オリックスの9連敗に日本ハム、ヤクルトの10連敗と、今年は大型連敗が目につく。極めつきは巨人の13連敗。1975年の11連敗というそれまでの球団ワースト記録を更新するほどの低迷に、ファンならずとも衝撃を持って受け止めた人は多いはずだ。

 これほどまでに長いトンネルになった原因は様々あろうが、私がまず気になったのは高橋由伸監督の表情だ。あまりに暗い。あれでは選手が彼からエネルギーをもらえない。監督とは叱ったり、激励したりすることで選手に何かしらのエネルギーを与える存在だが、高橋監督を見ているとそういうものが感じられない。

8日の西武戦で球団ワーストを更新する13連敗を喫した高橋監督(右端)と巨人ナイン=共同

8日の西武戦で球団ワーストを更新する13連敗を喫した高橋監督(右端)と巨人ナイン=共同

 楽天が創設された2005年に監督を務め、11連敗を2度味わった経験から、低迷時の監督の心境は痛いほどわかる。連敗中はやることなすことうまくいかず、惨めさからつい下を向きがちになるが、私は努めて前を向くようにした。試合後のミーティングでコーチ陣に必ずかけた言葉が「明日、絶対明るい顔で来いよ」。

 ただでさえ暗い雰囲気なのだから、せめて首脳陣だけでも明るく振る舞わなければ本当に暗いチームになってしまう。明るく接することで「きょうは勝てるかも」と選手がエネルギーを持ってくれたらしめたもの。やる気を持たせるのも采配のうちだ。

采配で気になることは…

 その采配でも高橋監督について気になることがある。相手の嫌がることをやろうという迫力が感じられないのだ。作戦といえばせいぜい送りバントをするくらい。ただ、大型連敗中はほとんどの選手が状態が悪いわけで、バントで1死二塁の場面をつくって次の打者に託したところで、そうそう安打が出るわけではない。

 選手からすると、調子が悪いときに「頼むぞ」と託されることが一番つらい。そこで採りうる選択肢がヒットエンドラン。無死から1番打者が出塁したとしよう。投球と同時にスタートし、2番打者が右方向へゴロを転がす。安打となって一、三塁になれば万々歳。3番打者は外野フライでも内野ゴロでも点が入ると思えば、気楽に打席に入ることができる。

 2番打者の打球が内野ゴロで1死二塁になったとする。表面上はバントで送ったのと同じシチュエーションだが、エンドランは一、三塁、あわよくば2番打者の打球が外野の間を抜けて走者が長駆生還することを目指した、ベンチの攻める姿勢を表す作戦。意図的に1死二塁を狙うバントとは中身が異なり、3番の選手は「別に俺に託されたわけじゃないんだ」と、さほど重圧を感じずに済む。

 2番打者の心の持ちようも違ってくる。送りバントは1つのファウルで精神的に追い込まれた気分になるから「決めないと」とプレッシャーを抱える。エンドランでは「転がしさえすればいいんだ」と気楽に受け止めやすい。相手捕手に外されて空振りしたとしても、責任を負うのはそのタイミングでサインを出した監督。そうやって選手に逃げ道をつくってあげるのが大事なのだ。

 このようにバントにはいろいろと負の要素があり、特に負けだしたチームが初回に送りバントをした際には「だめだな、このチーム」と思ってしまう。いきなり走者が出て相手投手が動揺しているところで、1つアウトを与えることがどれだけ投手を楽にするか。初回の送りバントほどもったいないことはない。

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