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雨と寒さと上り坂…でも100キロの先に歓喜
編集委員 吉田誠一

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2017/6/15 6:30
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長い旅路なので細かなことは覚えていないが、序盤のうちにまず風が強くなり、冷たい雨が落ち始め、先行きが暗くなった。アップダウンのきつい山道を雨の中、たどるのはきつい。

自分との約束「歩いてはいけない」

寒がりの私は長袖のシャツの上に半袖シャツを重ね着し、さらに風雨が強い間は100円均一ショップの雨ガッパをはおった。この雨ガッパにかなり助けられた。

それにしても3月以降、雨にたたられてばかりいる。3月の佐倉健康マラソンで雨に泣き、5月の千葉の30キロの大会は土砂降りだった。その5日後にトレーニングで筑波山に走りに行く(33キロ走)と雷雨に遭った。そして今回は雨と厳しい寒さとの闘いになった。

雨とともに記憶に残っているのは上り坂ばかり。顔を上げると、ずーっと坂が続いている。しかし、走っているうちに、この坂を制覇するためにここに来たのではないかという思いが湧き上がってきた。「決して歩いてはいけない」という意志が固まった。それだけは守ろう。

凍えるような小倉山トンネルを抜けてエイドステーションで一服

凍えるような小倉山トンネルを抜けてエイドステーションで一服

もちろん、エイドステーションでは立ち止まり、おにぎりや梅干しやバナナや豚汁で栄養補給を行う。しかし、エイドステーションを離れたらひたすら走り続けた。

そう決意したのがよかったのだと思う。自分とのその約束を守ろうとしたことで緊張感を維持できた。「根性」という言葉が私の辞書から完全には消えなかった。

一つ一つの坂で約束を守っているうちに、「せっかくここまで守ってきたのに、ここで約束を破れるか?」という強迫観念にとらわれた。ここで歩いたら、いままでの努力が水の泡ではないか。

もちろん、徐々に脚力が奪われ、40キロ以降は5キロを30分ではクリアできず、35分を要すようになった。終盤は40分も掛かった区間があった。

しかし、レースを途中でやめたいとは一度も思わなかった。心がレースから離れなかった。それは「歩いてはいけない」という決意と関係していたのだろう。

左足小指、左膝の内側…痛みとの闘い

ウルトラマラソンは痛みとの闘いにもなる。20キロあたりで、早くも左足の小指の付け根に痛みが出た。後半は下り坂で左膝の内側が痛んだ。上り区間は我慢して、後半はどちらかというと得意な下りで飛ばそうと考えていただけに、この膝痛は誤算だった。

靱帯でも傷めたかという不安を抱え、ゆっくり下りた。痛みが出て、すぐに浮かんだのは「これでは7月の日光100kmは無理だろう」という思い。がっかりしたというより、欠場の理由ができてホッとした。

ゴール後は階段を下りるのがつらく、夜も膝の痛みでぐっすり眠れなかった。しかし、2日後にはかなり回復し、ウルトラ連戦という挑戦から逃げられなくなった。いまは「必ずやります」と決意を新たにしている。

それにしても100キロという距離は長い。60キロまで行っても、まだ40キロも残っている。80キロに至っても、まだ先に20キロもある。残りの距離を想像すると打ちのめされる。

終盤は「お楽しみはあと20キロしか残っていないぞ」「こんな気持ちのいい森の中を走れるなんてすてきじゃないか」「ほら、楽しいでしょ」と思うようにした。いわば洗脳かもしれないが、考え方を変えると肉体はいい方に反応する。

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