2019年7月24日(水)

耐火木造に挑んだ全国初のガソリンスタンド

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2017/10/20 6:30
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日経アーキテクチュア

これまでは「木造」を考えることすらしなかったであろうガソリンスタンドで、木材を扱う発注者自らが耐火木造化を推進したプロジェクトが現れた。地方都市の再生を見据えた熱意と粘りが、全国で初めての事例を生んだ。

林業が盛んな大分県日田市で、地産材を計26.56m3(立方メートル)使用した小規模な建物が、全国から注目を浴びている(図1)。

図1 木造ガソリンスタンド「日田北サービスステーション」の建て方の様子。日田産のスギ材による木造軸組み工法だ。コストと工期を考慮して、事務所棟の階段とキャノピーは鉄骨とした(写真:江藤工務店)

図1 木造ガソリンスタンド「日田北サービスステーション」の建て方の様子。日田産のスギ材による木造軸組み工法だ。コストと工期を考慮して、事務所棟の階段とキャノピーは鉄骨とした(写真:江藤工務店)

施工中の写真は一見、住宅にも見える何の変哲もない建物だが、実は危険物を取り扱うセルフ式ガソリンスタンド(屋外営業用給油取扱所)「日田北サービスステーション」の事務所棟だ。総務省消防庁によると、木造によるガソリンスタンドは全国で初めてとみられる(図2)。

図2 日田北サービスステーションの平面図(図:江藤工務店)

図2 日田北サービスステーションの平面図(図:江藤工務店)

日本木造住宅産業協会が大臣認定を取得している「メンブレン型」で、1時間耐火の木造を実現した。事務所棟は、地上2階建てで延べ面積は約128m2(平方メートル)。工費は、構造を鉄骨とした場合と同等程度で約2000万円だ。国道の拡幅に伴って全面改築し、2016年12月に開業した(図3)。

図3 現在の外観。2016年12月に開業した。木造軸組みを石こうボードで覆う「メンブレン型」を採用して耐火構造とした(写真:日経アーキテクチュア)

図3 現在の外観。2016年12月に開業した。木造軸組みを石こうボードで覆う「メンブレン型」を採用して耐火構造とした(写真:日経アーキテクチュア)

ガソリンスタンドに事務所棟のような建築物を計画する場合、壁や柱、床、梁、屋根を耐火構造または不燃材料でつくることや、建築物の窓及び出入り口に防火設備を設けることなどが求められる。確認申請、消防同意に加えて、危険物取扱所の設置許可申請などの手続きが必要だ。

発注者は、日田石油販売(日田市)。同社の瀬戸亨一郎社長は、日田木材協同組合の理事長でもある。木造建築の可能性を示し、木材の需要を拡大したいという狙いもあった。「ガソリンスタンド内の建築物は鉄骨造などが一般的だが、木材以外で建築されるのを残念に感じていた。木造でできないのだとしたら、その理由を知りたかった」と、瀬戸社長は当時の思いを説明する。

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