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全仏で見せた「幼さ」 錦織に望む「大人のたしなみ」
スポーツコメンテーター フローラン・ダバディ

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2017/6/11 6:30
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きょう11日は全仏オープンテニスの男子シングルス決勝戦だ。この2週間、WOWOWのキャスターとしてパリから現地の様子を伝えてきた。会場のローランギャロスは10歳の頃から通っていた庭のような場所。キャスターとしても今年で13年目になった。人影まばらな朝8時ごろに着くと顔なじみに挨拶し、青空の下でコーヒーを飲みながらスポーツ新聞の「レキップ」を読む。「きょうも一日頑張ろう」と元気が沸いてくる幸せな時間だ。

普段、試合は11時に始まり日暮れまで続く。僕はその間、生中継で観戦の参考になる情報を紹介しながら、タイミングを見計らって試合を見たり、記者会見を聞いたりする。午後9時を過ぎてようやく一段落だ。

「全仏は付け焼き刃では戦えない」

全仏といえば赤土だ。一口にクレーコートといっても、その素材はレンガやタイル、粘土などいろいろとある。ローランギャロスはパリ北部のロワーズで製造する専用のレンガを砕いて使っている。レンガのレシピは行列のできるラーメン店のように「秘伝」とされている。イレギュラーが少なく美しいコートは、最高峰の選手たちの戦いの舞台にふさわしい。

華やかな見かけとは対照的に、赤土でのテニスは過酷な戦いとなる。球足が遅いので簡単にはポイントを取れない。長いラリーを経てポイントを取るための組み立て、粘り強くそれをやり遂げる技術と集中力を兼ね備えた選手でないと勝つことは難しい。つまり、サーブや強打だけでは勝負できない。昔からハードコートや芝では戦えなくても、全仏ではめっぽう強い職人肌のスペシャリストがいるのもそういう理由だ。

マリーとの準々決勝でポイントを奪われ、ラケットを投げつける錦織=共同

マリーとの準々決勝でポイントを奪われ、ラケットを投げつける錦織=共同

先日、錦織圭のコーチで17歳で全仏を制したマイケル・チャンがスタジオに来てくれて「全仏は付け焼き刃では戦えない」と話していた。クレーに必要な体力や試合勘を養うには、相応の練習と実戦が不可欠ということだ。1月の全豪オープンで優勝するなど今季好調だったロジャー・フェデラー(スイス)は、十分な準備をせずに全仏に出るのは得策ではないとして今大会の出場を見送った。的確な判断だと思う。

こうしたことを踏まえると錦織の今大会は考えさせられることが多かった。勝ち負けは別にして、頂点を目指す準備が整っていないように感じたのだ。

敗れた準々決勝のアンディ・マリー(英国)戦は凡戦だった。やることなすことうまくいって、第1セットは6-2で取れた。しかし第2セット以降は凡ミスが目立ち、3セット続けて失った。マリーは試合後「僕が特に何かをしたわけではない。サービスブレークや(7-0で圧倒した)タイブレークは錦織がお粗末なプレーをしたから。どちらにとっても良い試合ではなかったと思う」と振り返った。「第2セットから焦って攻めてしまった」というのが錦織の説明だ。

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