進化を楽しむ(廣瀬俊朗)

フォローする

ラグビー代表戦3連戦、日本は新戦術の精度高めよ

(2/2ページ)
2017/6/9 6:30
保存
共有
印刷
その他

10日に対戦するルーマニアとは、僕も現役時代の12年と14年に戦った。とにかくFWが強い。スクラム、ラインアウトというセットプレーからプレッシャーをかけ、SHからのパス一つで重い選手が突進する。

日本代表の練習を見るジョセフHC(後方)。今月のテストマッチ3連戦の意味は重い=共同

日本代表の練習を見るジョセフHC(後方)。今月のテストマッチ3連戦の意味は重い=共同

15年W杯の後、ニュージーランドなど海外出身の選手をバックスに多く加えたようだが、最大の武器がFWである点は変わらないはずだ。

アイルランド戦、セットプレー鍵

17日と24日に2連戦するアイルランドは、ルーマニアよりはるかにボールを動かす力があるが、FWが大きくて強いというところは共通する。3戦とも、日本にとっては攻守の起点となるセットプレーでどれだけ対抗できるかがカギになるだろう。

今回のアイルランド戦と状況が似ているのが、13年のウェールズ戦だろう。同じ欧州6カ国対抗の強豪チーム。主力選手を全英代表ライオンズに送り込み、残りのメンバーで来日する点や、W杯の2年半前というタイミングも共通する。

当時の日本は、両国が正式なテストマッチと認めた試合でウェールズなどの強豪国に勝ったことは一度もなかった。僕が前年にウェールズと戦うと聞いたときも、正直にいうと勝てる気は全くしなかった。

しかし、初戦で18-22といい戦いができたことと、たくさんのお客さんが来てくれたことが自信になった。第2戦目で23-8の勝利。この方向性は間違っていない。そういう自信をつかむことができた。15年W杯までの4年間を振り返っても、非常に大きな一戦だった。

ジョセフHC就任後の日本は、昨年11月にウェールズと敵地で惜しい試合はしたものの、チームのよりどころとなるような勝利がまだない。この6月に何としてもつかみたいところ。

アイルランドは19年W杯の1次リーグでも日本と同じ組に入ることになった。ルーマニアも、W杯予選を勝ち抜けば同組になる可能性が高い。その意味でもこの3試合の意味は重い。

試合が行われる熊本、静岡、東京の3カ所はW杯の開催都市でもある。勝つことでW杯に向けた雰囲気を盛り上げることもできる。

勝利よりも大事な試合の中身

廣瀬俊朗氏

廣瀬俊朗氏

一方で、勝利よりも大事なのが、試合の中身だとも考えている。W杯までの準備がいい形で進んでいるかを、確認する場にしたい。

ポイントは2つある。先ほど挙げた、FWのセットプレーでどれだけ対抗できるかが1つ目。

2つ目は、チームの戦術の浸透度合い。具体的には、アンストラクチャーの状況を自分たちに有利な形でつくれているかどうかである。

キックを蹴った後に日本が目指す展開は、複数人で素早く追いかけていいタックルからボールを奪い返すこと。もしくは、相手に苦しい態勢でキックを蹴らせてカウンターを仕掛けることになる。

成功させるために必要なのはまずキックの精度。そしてチェイスをかける味方の態勢である。何度も密集をつくって連続攻撃をしてから蹴るのは危ないかもしれない。味方のFWが多く倒れていて、追いかけられる選手が少ないからだ。ラインアウトでボールを確保した直後など、チェイスをしっかりできる態勢から蹴りたい。

全く正反対だったのが、昨秋のフィジー戦。個々が高い突破力を持つチームにスペースのある場面でボールを渡すキックをしてしまうと、日本の選手が守るのは難しくなる。アイルランドに同じことを繰り返すと、厳しい展開になるだろう。

ジョセフHCがキックを主体とする攻撃の大枠を19年W杯までに変えることはないだろう。2年半後の本番で戦術を成功させるため、いい予行演習を積んでほしい。

(元ラグビー日本代表主将)

進化を楽しむ(廣瀬俊朗)をMyニュースでまとめ読み
フォローする

  • 前へ
  • 1
  • 2

日経電子版が最長2月末まで無料!
初割は1/24締切!無料期間中の解約OK!

保存
共有
印刷
その他

ラグビーコラム

電子版トップスポーツトップ

進化を楽しむ(廣瀬俊朗) 一覧

フォローする
実業団ラグビー部の復活を描くドラマ「ノーサイド・ゲーム」に出演する筆者。左は主演の大泉洋さん=TBS提供TBS提供

 ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会の開幕まで2カ月を切った。最後の実戦期間に入る日本代表について考えるとともに、大会盛り上げのために自分なりに始めたことについて紹介させてもらいたい。
 日本代表 …続き (2019/7/26)

共同

 9月開幕のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会に臨む日本代表候補が動き出した。スーパーラグビーのサンウルブズも2月23日に国内初戦を迎える。本番まで残り7カ月。これから必要な準備や注意点、対戦国の …続き (2019/2/20)

トップリーグは31日開幕する=共同共同

 ラグビーのトップリーグが31日、始まる。今年も魅力的なルーキーや外国人選手が多く参戦する一方、2019年のワールドカップ(W杯)日本大会の準備のため、大会方式などがかなり変わった。新しいシーズンを展 …続き (2018/8/28)

ハイライト・スポーツ

[PR]