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オーバーブッキング問題、データ分析のプロが妙案

VentureBeat

航空各社は最近、オーバーブッキング(過剰予約)便の取り扱いを巡り厳しい批判にさらされている。世間の注目を浴びたまずい対応も追い打ちとなり、多くの会社が予約客の搭乗を断る手段の見直しに乗り出している。

不本意な搭乗拒否は、実はデータの問題であり、データの分析手法と透明性を改善すればかなり簡単に解決できる。

乗客の選別にもっと多くのデータを活用できる

飛行機の客室 (C)Supachai Katiyasurin / Shutterstock

まずはデータ分析について考えてみよう。航空各社は現在、別の便に振り替えてもらう乗客をどうやって選んでいるのだろうか。最近のメディアの報道から判断すると、現行のアルゴリズムではチケットの購入価格や乗客のマイレージサービスのステータスといった要素を考慮しているようだ。だが、航空会社はこの要素に加え、はるかに多くの乗客情報を持っている。例えば、

・搭乗日の直前にその便を予約した乗客は、観光客というよりも、融通できる余地の少ないビジネス客である可能性がある

・延泊することになった場合、その目的地をよく訪れている乗客の方が、初めて訪れた乗客よりも宿泊先を確保しやすい

・小さな子ども連れの乗客は、搭乗を拒否されると旅行や宿泊先の手配に苦労する可能性が高い

旅行履歴や現在の予約内容を参照すれば、こうした情報はどの乗客のものでも手に入る。マイレージプログラムに登録している乗客であれば、航空会社はさらに多くの情報(属性や好みなど)を持っているため、誰を断るかを決める際により賢明な判断が下せる。

「いくらなら売る?」 オークションなら喜んで降りる乗客も

もっとも、データの透明性を高めれば、搭乗拒否の必要性を完全に排除できる。

過剰予約の便を「取引市場」に見立ててほしい。航空会社はここで搭乗を断念する価格を乗客と交渉する。その航空会社の基準額(450ドルとしておこう)では、快く搭乗を取りやめてくれる乗客は一人もいない。だが適正な額であれば、何人かが自ら名乗り出るだろう。その額は450ドルを大きく上回るかもしれないが、搭乗拒否を巡るまずい対応で株価が4分の1に落ち込んだのに比べれば、まだ安い方だ。

現時点では、搭乗を断念してもらう権利を航空会社が競売にかけ、乗客が最低価格で応札する取引市場の開設など思いもよらない。だが、簡単なモバイルアプリを使うだけで、この問題は解決できる。

以下のシナリオを想像してほしい。混雑した機内で席についていると、客室乗務員がこう告げる。「残念ですが、当便はオーバーブッキングのため、全てのお客様を乗せることはできません。ただ、この計算ミスはお得なチャンスです。当社のモバイルアプリにログインし、いくらなら搭乗を取りやめてもよいかを教えてください。入札は5分後に締め切られ、ラッキーな当選者が決まります」

スケジュールにゆとりがあるかを確かめるため、あちこちで乗客が慌てて同行者と話し合ったり、同僚に電話で相談したりしている。搭乗を拒否される必勝法を編み出そうと、考え込んでいる乗客も多い。入札価格が低すぎれば割に合わず、高すぎれば他の誰かが選ばれるからだ。周りの乗客と一緒になって、必死で入札戦略を練っている客もいる。5分後に客室乗務員が当選者を発表すると、米CNNテレビで流された映像のような状態ではなく、大盛況のうちに応募プロセスは幕を閉じる――。

次は電子機器の機内持ち込み制限を解決?

航空各社が透明性の高い取引市場を開設すれば、搭乗を断られた乗客が喜んで飛行機を降りる環境を整えられる。これが可能なのは、乗客が決定プロセスに参加したからだ。ほとんど全ての便では、適切な対価で快く降りてくれる人がそろう上に、他の乗客との競争でその金額も下がるはずだ。

自主的に降りてくれる乗客がどうしてもそろわない便では、航空会社は前述した最先端のデータ分析を駆使し、変更しても最も問題がなさそうな乗客をもっと合理的に特定することに徹すればよい。

データサイエンスのおかげで、また一つ問題が解決した。次の問題は(電子機器の)機内持ち込み制限だ……。

By Moshe Kranc(米ネスデジタルエンジニアリング最高技術責任者)

(最新テクノロジーを扱う米国のオンラインメディア「ベンチャービート」から転載)

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