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役割問い直し新境地へ FC東京・GK林彰洋(下)

川崎から点取り屋の大久保嘉人、FCソウルからボランチ高萩洋次郎を獲得するなど、オフの大型補強が話題になったFC東京。鳥栖から加入したGK林彰洋もその一人だ。

CB森重真人は林を「相手の流れを断ったり、こちらに流れを持ってくるビッグセーブが必ずある。それにすごく救われている。味方になって高いボールへの強さにも改めて驚いている」と賛辞を惜しまない。

日々の取り組みを試合で体現し「制度と完成度を上げていく」という

チームはリーグ第14節を終えて4位(7勝3分け4敗=勝ち点24)。昨季の14試合消化時点より順位(12位)は上で得失点差もマイナス2からプラス8に改善されたが、攻撃は変化や抑揚に乏しく、補強の成果が出ているとは言い難い。

林はチームの現状をどう見ているのか。

「殻をもう1枚、破らないといけない気がする。何か、ちょっとした気持ちのしがらみのようなものが邪魔をして自分たちで枠に収まっているというか」

「いい意味で癖のある選手が外から来て、堅実なスタイルを持った昔からの選手とともにチームとして"化ける"可能性はある。サッカーに正解はないから、そうなるために腹を割っていろんな問題を話せることが大事。言いたいことを腹にためるばかりでは本当の物作りはできないと思う」

林に大いなる刺激を与えるGKコーチのジョアン・ミレッはまな弟子の日本代表復帰を視野に入れている。しかし本人は「ロシアのワールドカップに選手として絡みたいですけど、目線はそこに向いています、というのではない」と話す。

「運命的」と語るジョアンとの出会いを含め、成長を促す環境が自分には用意されている実感がある。日々取り組んでいることを「試合で体現しその精度と完成度を上げていく」。それが適正に評価されれば、おのずと代表の道も開けると信じているのだろう。

GKは息の長い選手が多い。林が「シュートストップの理想はこの人」と名を挙げるイタリア代表の守護神ブッフォンは39歳にしてユベントスを欧州チャンピオンズリーグ決勝に導いた。キャリアハイが長期にわたるのはGKの喜びだろう。

守るだけでなく攻撃の起点に

しかし、11人目のフィールドプレーヤーとしての働きが求められるなど、日進月歩のシステム変更やルール改正に適応しなければ生き残れないのもGKというポジション。林は語る。

「どんなシュートを何本打たれても手や足でボールに触れるキーパーになりたい。触れたら止める可能性を残せるので。どんな建造物も土台がしっかりしてないとダメですよね。チームの幹としてGKもどんとしていないと。でも攻撃の起点にもなるのでパスの円滑性を高めることも大事」

ピッチの最後尾にいながら時代の先端にいる。ゴールを守りつつゴールを攻める。そんなGKの妙味を深く掘り下げていく。三十路(みそじ)を迎えたばかりの林のキャリアハイはこれからやってくるのだろう。=敬称略

〔日本経済新聞夕刊6月7日掲載〕

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