2019年6月26日(水)

解剖「ケイレツリスト」 アップル経済圏の栄枯盛衰
裏読み「アップル経済圏」(上) 大槻智洋 TMR台北科技代表

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2017/6/15 2:00
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表5に外資系企業の星取表(サプライヤーリスト入りの年別成否)を示す。例えば、プリント基板の台湾ユニマイクロン(Unimicron)は2015年にリスト入り、半導体の米スカイワークスソリューションズ(Skyworks Solutions)は2016年にリストに載った。

供給内容の
分類
本社社名日本国内事業所の所在地供給記録
20122013201420152016
半導体米Micron広島県東広島市、秋田県秋田市
米ON Semiconductor岐阜県安八町、福島県喜多方市××××
米Sandisk三重県四日市市×××
米Skyworks Solutions大阪府大阪市、大阪府門真市××××
米Texas Instruments茨城県美浦村(2013年のみなし)、大分県日出町(2012年のみあり)、福島県会津若松市
材料米3M山形県東根市×
米Chemours岐阜県中津川市、東京都千代田区×××
米Corning静岡県掛川市×××
コネクター米Molex鹿児島県鹿屋市(2013年のみなし)、神奈川県大和市(2012年のみあり)、静岡県吉田町
回路保護製品米TE Connectivity茨城県稲敷市×[注]
物流ドイツArvato千葉県千葉市××××
プリント
基板
台湾Unimicron北海道恵庭市×××
包装印刷米RR Donnelley岐阜県下呂市

表5 日本の事業所をアップル向け供給拠点にしている外資系企業。[注]TE Connectivityは2016年に回路保護製品部門を他社に売却したのでリストから外れた

■日本企業の中国拠点配置に疑問

最後に、アップルのサプライヤーを取引先とする日本の部材/工作機械メーカーによくある"悪習"を指摘しておこう。日本人駐在員を中国・上海市にばかり送り込むことだ。

確かに上海市にも設計や製造の現場がある。しかし、それは明らかに年々減少している(図1)。単に上海市が都会で日本人駐在員が暮らしやすいから、日本企業は同市を選んでいるのだろう。しかし、本気でビジネスをしたいのなら、駐在員を送り込むべき地は、江蘇省や四川省、河南省である。これらの地域でサプライヤーの拠点が増えているからだ。

図1 アップルサプライヤーの中国拠点配置。江蘇省は南京市を含む。福建省と江西省は華東とされるが、ここでは経済面でのつながりの強さから華南とした

図1 アップルサプライヤーの中国拠点配置。江蘇省は南京市を含む。福建省と江西省は華東とされるが、ここでは経済面でのつながりの強さから華南とした

また、深圳市を含めた広東省で中国営業を統括したり、商品を開発したりする日本企業が、ほとんど増えていないことも気になる。サプライヤーの中国拠点の35%が、この地域に存在するからだ(2016年時点)。例え、アップルがスマートフォン(スマホ)市場で後退したとしても、この重要性は変わらないだろう。スマホの世界シェア3~5位がすべて広東省の企業だからだ。

調査会社の米ガートナー(Gartner)によると、2017年第1四半期に中国ファーウェイ(Huawei、華為)、オッポ(Oppo、歐珀)、ヴィヴォ(Vivo、維沃)を合計したスマホの世界出荷台数シェアは24%。アップルの14%はもちろん、韓国サムスン電子(Samsung Electronics)の21%さえ超えている。

大槻智洋(おおつき・ともひろ)
 ベンチャーキャピタルで投資や経営支援に従事した後、2001年より日経BP社で日経エレクトロニクス記者となる。カメラ技術やEMS/ODM産業の分析記事で高評価を受ける。2011年に台湾でTMR台北科技を設立。コンサルティング会社や電子関連企業に調査サービスを提供するほか、メディアに寄稿している。

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