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コーチと対話し理想追う FC東京GK・林彰洋(中)

2017/6/11 6:30
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東京都東大和市生まれの林彰洋がGKコーチの指導を受けるようになったのは、柏レイソル青梅ジュニアユース時代からだ。英国やベルギーで海外経験もある林はそれからいろんなコーチの手ほどきを受けたが、FC東京で巡り合ったジョアン・ミレッGKコーチの教えは衝撃的だった。

「キャンプ最初の1週間は"キーパーとは何ぞや"というところから始まって対話ばかり。2時間の練習のうち90分は対話。ボールに触るのは残り30分のチーム練習だけだった。憂鬱になりますよ。今思えば、その対話がどれだけ重要だったか痛感するんだけど」

「ミレッGKコーチ(左)への質問がない日はないぐらい」と語る

「ミレッGKコーチ(左)への質問がない日はないぐらい」と語る

新任コーチは林をどう見たか。「就任決定後に過去の映像を見て、大変だなと思った。背が高いとか、身体能力に恵まれていると悪い癖が修正されずにプロになれる環境が日本にはある。林もその類いだと。育成部門と違ってプロは明日、結果を出さないと。練習時間が足りないのも心配だった」とジョアンは語る。

「短期間で改善できたのは林の学習の意欲と能力が高かったから。私のメソッドを受け入れ、まずやってみる。納得がいかない部分は質問する。そうやって良しあしを判断できる賢さがあった。篠田監督が練習時間を十分に確保してくれたのもありがたかった」

2人の対話は今も進行形だ。「まだまだですよ」と林。「質問がない日がないくらい。聞けば、こうだと必ず返してくれる」

例えば、5月14日の柏戦。不覚にも林は手が届く範囲にあった約30メートルのロングシュートを手塚康平に喫してしまう。

精神面の隙も見逃さず

「シュートにスピードはなく、キャッチできると思った」。こう語る林に、ジョアンは「一瞬でも簡単だ、捕れると思った時点でそのシュートは難しいものになる」と指摘した。心のひだまで分け入る説明に「そこまで言ってくれるコーチはなかなかいない」と林も納得するしかなかった。

「実際、止められると思いましたから。受け身にならずにポストを越えるくらい跳びきってしまえば防げたんだなと」

理想のGK像やGK論を語れば、コーチや選手の間でも議論百出となる。剣の道にいろんな流派があるのに似ているといえなくもない。が、流派の違いはあってもゴールを守るための確率と効率をひたすら追い求めているのはみな同じ。

ジョアンは「GKはピッチ上で最も完成された選手であるべきだ」との持論を持つ。GKが習得すべき基礎的技術は50項目ほどあり、それぞれの項目でさらにマスターすべきことが細分化されてあるという。

その一端に触れた林は「まだまだ奥がある。ということは僕も成長できるということ。実際、シュートを決められても次に同じようなシュートを打たれたら止められそうになる。それがうれしいし楽しい。期待を自分に持てるようになった」。慧眼(けいがん)の師と二人三脚で免許皆伝を目指す。師に厳しく見透かされる日々もまた楽しからずや、である。=敬称略

〔日本経済新聞夕刊6月6日掲載〕

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