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ゴミ収集車も環境配慮 モリタエコノスが新型

消防車製造のモリタホールディングス(HD)子会社のモリタエコノス(兵庫県三田市)は、低騒音の新型ゴミ収集車を開発した。ハイブリッド車の電池でゴミを圧縮する仕組みを採用した。従来のエンジンを利用する場合と比べて低騒音で、排ガスも抑えられる。作業員の高齢化も進む中、高い環境性能や使いやすさをアピールし、国内シェアを上げていく考えだ。

新型車は「プレスマスターイー・セブン」で、モリタエコノスの兵庫県三田市の新工場で製造する。従来のエンジン駆動の場合と比べ、作動音は4デシベル程度下げることができた。モリタエコノスの技術開発部部長の清原聡氏は「作業員同士が大声を出さなくてもコミュニケーションがとれるようになった」と利点を語る。低騒音のため、深夜や早朝の住宅街でのゴミ収集でも使いやすい。

ゴミを圧縮する際に排ガスが発生しない点も特徴だ。タワーマンションや商業ビルの地下にあるゴミ捨て場での回収作業にも対応できる。

ほかにも作業員の負担を軽減するための工夫を随所にこらした。ゴミ収集は「3K(きつい、汚い、危険)」のイメージがつきまとい、作業員の高齢化や人手不足が悩みの種。自治体への納入数を増やすために、作業員の省力化を助ける仕組みが必須の事項だ。

具体的には、ゴミの投入口を地面からおよそ70センチメートルの高さになるように設計した。他社のゴミ収集車を含めても最も低い位置にあるという。重いゴミを持ち上げる作業員の腰や腕への負担を減らす狙いからだ。

ゴミの投入口を低くしつつ、生ごみなどを潰した際に出る汚水をためるタンクは可能な限り高い位置に設けた。低いと地面のでこぼこにぶつかり傷ついてしまうためだ。技術開発部係長の西村徹氏は「何度も設計を見直し、従来モデルより3センチメートル高い場所に設置できた」と話す。部品の配置を変えることで汚水タンクもこれまでより平らな形を実現できた。

22回連続でゴミを圧縮できるようにした点も特徴だ。清原氏は「競合他社の連続運転回数を超えることが必須条件だった」と話す。電池を長持ちさせるため、電動モーターの回転制御では独自技術を活用。「微調整を繰り返し、他社の作動回数を超えることができた」(清原氏)という。

テールランプの位置を投入口の上部に取り付けたのも安全面の工夫だ。車体の下部にある場合、ゴミの汚れでランプが見にくくなったり、作業員の姿がランプを隠してしまったりすることがある。上部のパネルには「作業中」の文字を表示でき、後方から来た車両による追突事故を防ぐ。

新型車は6月1日に売り出し、価格は税別950万円。自治体向けに初年度30台の納入を目指す。オプションとして周囲360度を表示できる安全運転支援システムも付けた。ゴミ収集車では初めての機能という。車両の前後左右に取り付けた計4台のカメラで捉えた映像を組み合わせて運転席のモニターに表示する。バックや右左折の際の安全確認に役立つ。

新型車を製造するのは5月に本格稼働を始めた兵庫県三田市の新工場だ。モリタエコノスは効率的な生産体制を築くため、老朽化した大阪府八尾市から本社と工場を移転。投資額は約60億円で、約6万3千平方メートルの土地に工場2棟を設けた。

新工場ではゴミを入れる箱の部分を造る「製缶」という作業から塗装、検査などのラインを1本化した。ゴミ収集車の製造コストは従来比で1割減らし、年産能力は従来比1.6倍の1000台を目指す。新工場の稼働を背景に、2020年までに国内シェアを5ポイント程度増やし、20%を達成したい考えだ。

快適な生活を送る上で欠かせないゴミ収集車だが、今後急速な市場拡大が見込めるわけではない。環境省によると、全国のゴミの総排出量は減少傾向にある。2015年度の総排出量は4398万トンで、05年度と比べて約16.5%減った。

ゴミ袋の有料化やリサイクルが進んでいることに加え、日本が人口減少社会へと突入したことも影響しているようだ。モリタエコノスの推計によると、昨年のゴミ収集車の新車需要は5000台程度。今後は年間4600~4700台程度で推移する見通しだ。

ゴミ収集車で国内シェア首位の新明和工業は住宅街でも使いやすいスポーティーなデザインの新車種などを投入。各社は安全性や環境性能を高め、作業員が使いやすいモデルを開発している。今後もどのような付加価値を付けられるかが鍵となりそうだ。

(大阪経済部 黒田弁慶)

[日経産業新聞 2017年6月6日付]

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