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働き方改革はオフィスから コクヨ 自ら体現

コクヨは働きやすいオフィス環境の提案に一段と力を入れる。これからのオフィスに必要な機能を快適性や効率性など4つに分類。全国の自社の拠点をモデルオフィスに改装してアピールする。国が進める働き方改革もあって、地方都市や中小企業にもオフィス環境を充実させる動きが広がるとみており、営業を強化する。

大阪・梅田にあるコクヨの「ライブオフィス」。ショールームと事務所を兼ねた施設で、今年1月に大幅にリニューアルした。同社はこれからのオフィスに求められる機能を「快適性」「迅速性」「革新(創造)性」「効率性」の4つと想定。同施設はこれらを満たすように改装したという。

国は長時間労働の是正のほか、柔軟な働き方の導入、女性や若者、高齢者の活躍推進など働き方改革の実現を目指している。コクヨはオフィス環境を整えて時短勤務や効率改善を進めることが働き方改革につながると考える。

梅田のオフィスは従業員の席を特定しないフリーアドレスを基本にしながら、4つの機能に合わせてゾーンを分けた。「快適」につながるカフェスペースは、座面が高めのイスや低いベンチなどを置き、休憩だけでなく気分を入れ替えて仕事ができる環境にした。他のゾーンとの仕切りは無く、気軽に立ち寄れる雰囲気を出す。

「迅速性」をイメージした営業ゾーンでは、課長級に当たる各部門のグループリーダーを1カ所に集め、部下の管理とリーダー間の連携を両立できるようにした。

「革新性」は主に設計者が集うゾーンで、個人やグループが使える集中スペースを設けているのが特徴。「効率性」は内務部門が中心となっている。それぞれの区画ごとにフローリングの模様を変えているが、柔軟に移動することが可能だ。

オフィス家具などを扱うファニチャー事業本部提案マーケティング部の菅原俊光部長は「『居場所がない』と捉えられがちな従来のフリーアドレスを見直し、どの場所でも働きやすいオフィスの提案を目指した」と話す。

これまでも人材獲得などの観点からも大手企業を中心として、快適なオフィス環境を整備する動きが広がってきた。働き方改革の必要性が強調されるなか、「今後は地方企業や中小企業の関心も高まる」(菅原氏)。

そういった企業に売り込むためにも、自社のオフィスを「ショールーム」として4つの機能を前面に出す。コクヨはライブオフィスを全国展開しており、地方都市でも大阪のように新たなコンセプトを生かした形への改装などを進めていく方針だ。

コクヨは事務用品のイメージが強いが、オフィス家具などのファニチャー関連事業が稼ぎ頭。都心での相次ぐ再開発に伴うオフィス移転などを追い風に、2016年12月期の同事業の営業利益は前の期より65%増加した。今後さらに議論が高まる働き方改革を新たな切り口に、関連事業を伸ばしたい考えだ。

(大淵将一)

[日経産業新聞 2017年6月2日付]

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