/

レアルとユーベ、似た者同士 監督の手腕決め手か

今週末に欧州CL決勝

欧州チャンピオンズリーグ(CL)の決勝が3日(日本時間4日)、ウェールズのカーディフで行われ、レアル・マドリード(スペイン)とユベントス(イタリア)が対戦する。レアルは2連覇、ユベントスは1996年以来21年ぶりの欧州制覇を目指す。

レアルの最大の武器は高速のカウンターであり、ロナルド、ベンゼマらの個の力を頼りに攻める。ベイルが故障で出場が難しそうだが、ロナルドはシーズン終盤にきて爆発力を発揮している。

ベイルを使えないなら、キープ力があり、攻めの構成力の高いイスコを起用するだろう。その場合、普通に考えればイスコをトップ下に置く4-4-2の布陣だが、サイドに置いて4-3-3にする可能性もある。

カギは事前の情報収集と読み

そこをユベントスのアレグリ監督がどう読み、どう対応するかが最初の見どころになる。レアルが3トップなら4バックだし、2トップなら3バックで対応するだろう。一発勝負なので、事前の情報収集と読みが非常に大切になる。

ロナルドを柱としたレアルの華やかな攻撃が目を引くため、「攻撃力のレアル―守備力のユベントス」という見方が一般的だが、両チームは似た者同士だと思う。

アレグリ監督が率いるユベントスがGKブフォン、CBボヌッチを軸にした固い守備を基調にして戦うのは間違いない。実はジダン監督のレアルも堅実な戦い方をする。頑健で守備専門要員のようなカゼミーロをアンカーに配し、重用しているのはその表れだ。

ジダン監督はジャケ監督のもとで1998年ワールドカップ(W杯)を制しているが、そのジャケ監督は堅実な戦い方をした。ジダン監督は2015年までレアルのコーチとして、イタリア人のアンチェロッティ監督(現バイエルン・ミュンヘン監督)のもとで手堅いサッカーを学んでもいるだろう。選手として華やかだったジダン監督が「勝てる監督」になった背景にはそうした過去がある。

意外に手堅いレアルのカギを握っているのはモドリッチだと思う。彼がちょこちょこ動きながら攻めのスイッチを入れる。モドリッチが動いて相手を引きつけることで、クロースにスペースと時間が生まれ、クロースから速攻につなげる長い縦パスが出る。

イスコは守備が苦手なので、その分をモドリッチが頑張る。それでも漏れてきた相手をアンカーのカゼミーロが止める構造になっている。中盤の3人とCBセルヒオラモス、バランが固める中央の守備は堅い。

問題が起こるとしたら、SBマルセロ、ダニーロが攻めに出て高い位置を取り、カウンターでその裏を襲われたときだろう。もちろん、ユベントスはそこを狙ってくる。

同様にユベントスがSBダニエウアウベス、アレクッスサンドロが攻撃参加したときの裏を、レアルも速いカウンターで突きたい。

きわめて戦術的な戦いに

しかし、堅実な両監督のことだから、前半はSBの攻撃参加は自重させ、慎重に試合を進めるはずだ。探り合いの時間が長くなるかもしれない。タイプが似ているからこそ、きわめて戦術的な戦いになる。

ユベントスはCFにイグアイン、サイドにマンジュキッチと突破力のあるクアドラード、トップ下に得点力もあるディバラを配する布陣が基本になる。

イグアイン、マンジュキッチにはロナルド、ベンゼマほどのスピードはないし、1人で局面を打開する力もないが、クロスに合わせる技術、タイミングの取り方、駆け引きにたけている。マンジュキッチは元来、CFで大型なので、サイドに高さのギャップをつくれる。その点はユベントスに優位に働く。

ユベントスにすれば、まずはモドリッチを自由にさせないこと、レアルの前線の3人を孤立させることを考えるはず。ロナルドがパスをもらえず、いらいらして中盤に下りてくるような状態をつくりたい。そうすればレアルの攻撃力を半減できる。

その状態をできるだけ長くし、1-0で勝つのがユベントスのシナリオだろう。したたかなユベントスにはそういう戦い方を徹底する力がある。

故障で離脱していたMFマルキジオが終盤戦に復帰したのは大きい。守備で頑張れるし、攻めに変化をつけられる。レアルのモドリッチの役割をマルキジオが果たし、その脇に展開力のあるピャニッチがいる。そのへんのつくりも両チームは似ている。

繰り返しになるが、アレグリ監督がレアルの布陣をどう読んで、どんな形で試合を始めるかが最初のポイントになる。読みを誤ったら、できる限り早く手を打たないと手遅れになる可能性がある。

ユーベ、対等の戦い挑むと…

イタリア人の戦術家だから、本来、そのへんはうまいはず。とにかく守備をうまくはめていくことが重要で、現実的な戦い方に徹する必要がある。変に格好をつけて、対等の戦いを挑むと痛い目に遭う。セットプレーで先制して逃げ切るというのが、理想のシナリオだろう。

49歳のアレグリ監督はユベントスを3年連続でセリエAの優勝(コンテ監督時代から通算して6連覇)に導いたが、欧州CLでは2年前の決勝でバルセロナに敗れている。勝てば21年ぶりの優勝というシチュエーションがプレッシャーにならなければいいが……。

一方のジダン監督にとっては現役時代にセリエAを2度、制した古巣との対決になる。イタリアの名門の伝統の力を肌で知る。それもあるから、いつものように手堅い試合運びをするだろう。

まだ44歳と若く、監督に就任して1年半だが、昨季の欧州CL、クラブW杯を制し、今季はスペインリーグを5年ぶりに制した。現役時代にW杯まで制しているので、大舞台でも冷静に指揮を執るだろう。

この決勝は似た者同士の対決だからこそ、監督の手腕が勝負を決める可能性がある。0-0で時間が経過していったとき、両監督がどう動くのか。そこもまた大きな見どころになる。選手交代のカードの切り方、そのタイミングが大事になる。有効な手を打ったチームが競り勝つような気がする。

そして、勝負の決まり方としては、もう一つ考えられる。絶好調のロナルドが想像を超える超人的なプレーで試合を決めてしまう。監督があれこれ考え抜いた末の戦術を無力にしてしまう力がロナルドにはある。

(元J1仙台監督)

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン