勝利のメンタリティー(山本昌邦)

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選手の成長促す国際大会という「非日常」

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2017/5/31 6:30
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「厳しい環境の中で選手は試合中にもぐんぐん伸びていく」――。そんなことを実感させてくれるのが、20歳以下の代表チームが集まって今、韓国で行われているU-20ワールドカップ(W杯)である。アジアの壁を越えて5大会ぶりに出場中の若き日本代表は1次リーグを1勝1分け1敗の勝ち点4でクリアし、決勝トーナメント(ベスト16)に進むことができた。

アジア王者の面目施す

1次リーグのイタリア戦で同点ゴールを決め喜ぶ堂安(左)=共同

1次リーグのイタリア戦で同点ゴールを決め喜ぶ堂安(左)=共同

30日に行われたベスト8を懸けた戦いはベネズエラに惜しくも延長戦で敗れた。最終予選を兼ねた昨年のU-19アジア選手権で優勝した日本はアジア王者として出場しているが、今回残した成績はその面目を施すものだったのではないか。初戦の南アフリカに逆転勝ちした後、得点源のFW小川(磐田)を1次リーグ2戦目途中からケガで欠きながら、ウルグアイ、イタリア、ベネズエラと引けを取らない戦いができた。健闘した選手と内山監督の頑張りを大いにたたえたいと思う。

10月にインドで開催される17歳以下のU-17W杯にも日本は出場するが、こちらも一戦でも多く、世界中のいろんなタイプの同世代の選手たちと競う経験を積んでもらいたいものである。

既にご存じのことと思うけれど、男子のサッカーではU-17とU-20のW杯が2年に1度開催され、さらにその上に原則23歳以下の選手による五輪と年齢制限のないW杯が4年に1度開催される。世界標準の何たるかを知れる大会が17歳から段階的に設けられているのは、アジア大陸の東端に位置する日本にとっては本当にありがたいことだろう。

これが欧州ならクラブチームでも代表チームでも陸続きの近隣諸国に気軽に出かけて、10代の頃からいろんなトーナメントに出場し国際経験を積むことができる。国際交流が日常と化しているわけだ。極東で四方を海に囲まれた日本はそうはいかない。それだけに年代別のW杯や五輪は貴重な国際経験を積む場として非常に重要な意味を持つのである。

日本サッカーが目指す最終的なゴールは年齢制限のない"大人"のW杯に出て、そこで優勝することである。その途方もない夢を実現するには、一にも二にも、世界で勝てる人材を育てる以外にない。それには一部のエリートを育てるだけでは無理で、欧州のように子供から大人まで、草の根のアマチュアからトップレベルのプロまで、この競技を心ゆくまで楽しめるピラミッド型のサッカー環境を構築するしかないと思っている。

ベネズエラとの決勝トーナメント1回戦で攻め込む久保(右)=共同

ベネズエラとの決勝トーナメント1回戦で攻め込む久保(右)=共同

実際、日本サッカー協会の選手育成はそのような成功を目指して行われている。俗に「トレセン制度」と呼ばれるシステムもそうだ。

トレセンは47都道府県のサッカー協会に存在し、将来有望なタレントを各地域で発掘し、中央(代表チーム)に送り込むシステムといえる。47都道府県で「これは」と認められた素材は北海道や東北、関東、東海、関西など9つのブロック単位のトレセンに送られる。その中でもさらに優秀と認められると東日本、中部、西日本という3つのエリア単位のトレセンに送られる。

アンダーエージの日本代表たちはそういう「都道府県」「ブロック」「エリア」でふるいにかけられながら生き残った、エリート中のエリートということになる。

日本の場合、ナショナルチームの出発点はU-15からだ。U-17W杯出場を目指す戦いは15歳でアジアの1次予選が始まり、16歳で最終予選に相当するアジア選手権がある。それらをクリアするとU-17W杯に出られる。2年後の本大会出場を目指す、世界を見据えた強化は15歳から本格的に始まるので、専任の代表監督が置かれるのもU-15からになる。

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