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故障者相次ぐ広島、孝行息子たちが支える首位

編集委員 篠山正幸

エース級2人が抜けたら、普通ならペナントレースから脱落か、という悲壮感が漂っても不思議ではない。だが広島は違うようだ。クリス・ジョンソン、野村祐輔の離脱を若い力がカバーして踏ん張っている。

野村抹消、「みんなでカバー」

腰の違和感で野村が登録抹消された24日、ヤクルト戦に先発したのは4年目の大瀬良大地(25)だった。初回ピンチを招いたものの、ウラディミール・バレンティンを空振り三振に仕留め、あとは六回まですいすい。

今季の大瀬良は落ち着いた投球で先発の役目を果たしている=共同

29球を要した初回だったが「ここは球数を費やしてでもゼロに抑える」と開き直った。二回以降、球数を抑えて先発としては合格点といえる六回まで投げた。

1年目に10勝を挙げた逸材も、昨年、一昨年は中継ぎに回るなどしたこともあり、3勝止まり。先発に固定された今季は、落ち着いた姿をみせ、野村離脱の不安をぬぐう存在となった。

非常事態について問われた大瀬良は「みんなでカバーしていきたい」と話した。緒方孝市監督も大瀬良だけでなく、野村らの穴は全員で埋めていく、と強調している。

次々と若い芽が出てくるから、誰か一人に重責を負わせる必要がないのは確か。2年目の岡田明丈(23)は26日の巨人戦で5勝目。早くも昨季の4勝を上回り、一気に開花しつつある。ともに4年目の九里亜蓮(25)と中村祐太(21)の進境もめざましい。

中村祐はプロ初登板となった3日の中日戦で初勝利を挙げた。関東一高からドラフト5位で入団したものの、昨季までの3年間は故障に悩まされていた。

今季は登板前日からの肩甲骨や、肩周りのストレッチなど「ルーティンをしっかり持つこと」によって、スムーズに試合に入れるようになったといい、18日のDeNA戦で2勝目。28日の巨人戦では勝ち星こそつかなかったが、5回2失点と粘りの投球をみせた。直球は140キロを超える程度。自ら「特にこれというボールはない」というが「変化球でも腕の振りが変わらない」という長所を持つ。

過去2勝が最高の九里は今季すでに4勝を挙げている=共同

プロ1年目と昨季の2勝が最高だった九里は今年、すでに4勝。昨季は中継ぎも務めたが、今季は先発の座を勝ち取り、存分に力を発揮している。

チームは交流戦を前に5連勝をマークし、首位に立った。その戦いを支えているのが、新顔のローテーション投手たちということになる。

打席にのぞむ投手の心構え

当初、先発ローテーションに入っていた新人の加藤拓也(ドラフト1位)、床田寛樹(同3位)も不調やら故障やらで1軍にいない。これほど顔ぶれが入れ替わっていながら、首位にいるのは驚異的といえる。

新しい力が台頭してくる理由はスカウティングの妙から始まり、いろいろあるだろうが、あえて一点挙げておきたいのは、投手といえども一つの打席もゆるがせにしないひたむきさだ。

東京ドームでの試合前。投手としての練習を外野で終えた九里が内野に戻り、バント練習を始めた。「僕はセンスがないし、へたくそなので。へたくそなりに少しでもできるようになれればいいなと」

投手と野手との一体感が広島の好調を支えている=共同

ホームのマツダスタジアムでは当然ながら、投手も打撃関連の練習をしているが、練習時間が限られたビジターの球場ではあまり見かけないシーンだ。

試合中の打席でも、九里は打てないながらに必死に投球に食らいついている。27日の巨人戦では4度の打席のうち3度、5球を投じさせた。これは九里に限ったことではない。こうした投手陣の姿を見て、野手も一層発奮するという好循環が生まれているのではないか。援護できる、できないという結果は別として――。

九里は新井貴浩や鈴木誠也らに、打者目線からのアドバイスを請い、野手陣も惜しむことなく助言しているという。人が育つ組織にはやはりそれなりの土壌がある、ということだろうか。

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