2019年5月23日(木)

未来面「世界を変えよう。 」

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 日本経済新聞社は、読者や企業の皆さんと一緒に日本の課題について考え、議論する「未来面」をスタートしました。今期のテーマは「世界を変えよう。」 革新的なアイデアをお寄せください。企業のトップが選んだ優れたアイデアは新聞紙面や日経電子版で紹介します。アイデアの投稿はこちらから。
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海から世界を変えるために何ができますか
田中孝雄・三井造船社長 経営者編第3回(6月5日)

2017/6/5 2:00
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日本は陸の面積では世界61位ですが、海の面積、つまり資源開発などの権利を有する排他的経済水域(EEZ)などの広さでは、世界6位の海洋大国です。しかも1位の米国と大きな差はありません。海は地球の7割を占めるほど広いですが、その開発はまだまだこれからです。海底に眠るエネルギー資源、希少金属などの鉱物資源、魚などの食料資源、レジャーなどの観光資源と、海はまさに可能性の宝庫です。

三井造船は2017年11月に、創業100周年を迎えます。ずっと海と共に生きてきた会社です。船を作るだけでなく、海に対する人々の夢や期待を、1つずつかなえてきました。例えば、海底油田開発では世界で指折りの会社ですし、日本の近海に大量に埋蔵されているといわれるメタンハイドレートの開発でも、主導的な役割を担っています。近い将来、メタンハイドレートの採掘が実現すれば、日本は資源輸出国になれるかもしれません。海は日本だけでなく、世界を大きく変える可能性を秘めているのです。

「チームクロシオ」と呼ばれるプロジェクトでは、海底地図の作製を試みています。陸の開発はかなり進み、宇宙開発も徐々に始まっていますが、海底にもまだ多くの未開のフロンティアがあり、どんな未来が開けるのか考えただけでわくわくします。こうした海への夢や期待を実現する試みには、当社だけでなく、世界中から優れた技術や高い志を持つ仲間が結集し、世界の人々のために日夜、汗を流しています。

かつて日本には「海洋牧場」という国家的な構想がありました。豊富に炭素などを含む昆布を育て、そこからエネルギーを確保する試みでした。残念ながら頓挫しましたが、海は人々にとって、エネルギーだけでなく、食料の宝庫でもあります。貴重なたんぱく源である魚を海中で捕獲し、陸上に運ぶまでの間に加工する技術が実現すれば、鮮度やコストなど様々な面で、魚の流通システムは大きく変わるでしょう。

洋上での風力発電に力を入れてきましたが、潮流を活用した発電など新しい電源開発の研究も進んでいます。潮流発電が現実になれば、海底に発電設備を置き、海中で様々なことができます。海中工場も夢ではありません。

海からの多くの恵みで人は生きてきました。当社は次の100年もまた海と共に生き、海がもたらす恩恵を世界の人々に届ける会社であり続けます。そこで皆さんにお願いです。海から世界を変えるために、私たちは何ができるでしょうか。大胆で独創的なアイデアを教えてください。海は無限の可能性を秘めています。私たちと共に、海から世界を変えていきましょう。

田中孝雄・三井造船社長の課題に対するアイデアを募集します。投稿はこちらから

編集委員から  社名に造船とありますが、売上高に占める造船の比率は17%で、半分以上は海洋開発などです。戦前の社是「造船報国」は今なら「海洋報国」と言う方がしっくりきます。2018年4月に持ち株会社に移行して社名は「三井E&Sホールディングス」に変わります。造船の2文字が消えるのは、当然の流れなのでしょう。

日本は海に囲まれ、海と共に生きてきました。資源、食料、物流、観光など、海がもたらす様々な恵みを、最新の技術によって最大限生かす。これこそ、日本が世界にできる大きな貢献です。その最先端に立つ三井造船はある意味、最も日本らしい会社の一つと言えるでしょう。

田中社長の語る潮流発電が現実になれば、海中や海底で様々に活動できるようになります。回遊する魚を見ながら仕事する海中オフィス、潜水艦通勤など夢は広がります。海は広いな大きいな、という童謡の歌詞が、改めて頭に浮かびました。(編集委員 鈴木亮)

◇   ◇

未来面は、日本経済新聞社が読者や企業トップの皆さんと課題を議論し、ともに作っていく紙面です。今回の課題は「海から世界を変えるために何ができますか」です。皆さんからの投稿を募集します。6月15日(木)正午が締め切りです。優れたアイデアをトップが選んで、次号6月26日(月)付の未来面や日経電子版の未来面サイトで紹介します。経営者をハッとさせたり、うならせたりしたアイデアの宝箱を開いてみてください。

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