バンナムとドリコム、二人三脚でブラウザ回帰

2017/5/26 6:30
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バンダイナムコエンターテインメントとドリコムは25日、2018年春にブラウザーで楽しめる「ブラウザーゲーム」の配信プラットフォームを稼働すると発表した。5年余りで急成長したスマートフォン(スマホ)の「アプリゲーム」は、不自由さが目立つ。次世代のモバイルゲーム市場の覇権争いや通信規格の変更を見据え、ブラウザー回帰に着手する。

2018年春に配信を始める(記者会見したバンダイナムコエンターテインメントの大下聡社長(左)ら)

2018年春に配信を始める(記者会見したバンダイナムコエンターテインメントの大下聡社長(左)ら)

「再びブラウザーマーケットが立ち上がるとの仮説を立て、研究開発を進めてきた」。東京都内で開いた記者会見で、ドリコムの内藤裕紀社長はこう語った。バンダイナムコの大下聡社長も「3年後には芽が出る。大きなチャンスがある」と期待を寄せる。

8月に運営会社BXDを共同で設立する。来春に人気シリーズ「ドラゴンボールZ」「ファミリースタジアム」「アイドルマスター」をテーマとする3つのブラウザーゲームを配信する。既存の会員サービス「バンダイナムコID」を活用し、電子マネーで決済する仕組みになる見込みだ。バンダイナムコグループのテーマパークやグッズとも連携させる。

スマホでプレーするゲームは現在、アプリゲームが主流だ。アプリストアからダウンロードし、スマホの処理能力を駆使して遊ぶ。一般的にブラウザーゲームよりもタッチパネル操作が快適で、高精細なゲームを作り込める。

ただ、最近はブラウザーゲームのプログラミング言語「HTML5」の機能が向上し、ブラウザーでもアプリに近い高品質なゲームづくりに道が開いている。「ブラウザーでもほぼ同等のゲームが遊べる」。運営会社の社長に就く、バンダイナムコの手塚晃司氏は強調する。

両社がブラウザーゲームに回帰するのは、技術面の進歩に加え、アプリゲームの環境が窮屈になっているからだ。課金収益の3割をアプリストアを開設している米アップルと米グーグルに払うルールがあり、ゲームの配信や更新には両社の承認が必須。事前通告もないまま配信を停止されるアプリさえある。2社を「神様」と呼んで恐れる関係者もいる。

ここへきて米フェイスブックが「インスタントゲーム」を始め、楽天は4月に「楽天ゲームズ」を立ち上げた。いずれのサービスもブラウザーゲームを提供する。バンダイナムコとドリコムはプラットフォームを他社も利用できるようにして、ソフトを充実させるもようだ。モバイルゲーム市場はアプリ対ブラウザーの構図も加わり、利用者の獲得競争がさらに激しくなりそうだ。

ブラウザーゲームが脚光を浴びたのは、従来型携帯電話(ガラケー)が主流の時代。「GREE(グリー)」「Mobage(モバゲー)」などのゲームサイトが利用者を取り込み、2012年に最盛期を迎えた。日本オンラインゲーム協会によると、市場規模は3000億円を超えた。

スマートフォン(スマホ)が普及すると、主戦場は画像表示の滑らかさなどに優れたアプリに移った。ブラウザーゲームの市場規模は14年に1000億円を下回り、アプリゲームは1兆円近くまで成長した。アプリゲームのプラットフォームを押さえたのは、米アップルと米グーグルだった。次世代のプラットフォーム競争のカギは、アプリゲームから利用者を引き抜く集客力だ。

メッセージアプリを入り口にする方法がある。「LINE(ライン)」などは億単位の利用者を抱え、大きな集客力を持つ。メッセージからブラウザーゲームへ誘導すれば利用者獲得に役立つ。アプリストアに並ぶ集客力を持たなければ、スマホ経済圏を牛耳るアップルとグーグルの牙城は崩せない。

(新田祐司)

[日経産業新聞 5月26日付]

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