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長期化必至のロシア疑惑、それでも市場の関心は米6月利上げへ

2017/5/19 9:04
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 2016年の米大統領選にロシアが関与した疑惑を捜査する特別検察官にロバート・モラー元米連邦捜査局(FBI)長官が任命された。ロシア疑惑の問題は長期化が必至の情勢だ。まず、スタッフをリクルートして、組織を立ち上げ、予算の手当てをするだけでも数カ月はかかるといわれる。過去の事例でも、詳細に捜査したうえで結論が出るまでには数年かかっている。その過程では新たな火種が発覚する可能性もある。トランプ米大統領の任期4年の間に終結するかどうかさえ不透明だ。

 市場にそこまで待つ忍耐はない。

 「Show must go on」。マーケットを劇場とすれば、ショーは続けねばならない。リスクオフで様子見ばかりを続けるわけにはいかない。

 「ワシントンの出先機関のスタッフを増やし、ホワイトハウスと米連邦準備理事会(FRB)を常にチェックする態勢を強化する」

 ニューヨークにある大手金融機関のこの動きが、今の市場テーマを浮き彫りにしている。

 いつ飛び出すかも分からないロシア・サプライズに身構えつつ、足元では、米国の6月利上げに影響を与える米マクロ経済指標を追う「日常」に戻りつつある。

 18日に米フィラデルフィア連邦準備銀行が発表した製造業景況指数は前月から16.8ポイント上昇し、38.8だった。市場の予測は18.0で、これを大きく上回って市場の注目を集めた。米労働省が18日に発表した新規失業保険申請件数(季節調整済み、13日までの1週間)も前の週から4000件減り23万2000件になった。減少は3週連続で、悪くない数値だ。

 マクロ経済指標の悪化やロシア疑惑に対する懸念で、市場が予測する6月の利上げ確率は一時60%台にまで低下したが、現時点では73%前後まで「反騰」している。とはいえ一時は80%台まで上昇したことを考えれば、利上げを織り込んだドル高の修正局面は依然続いている。

 なんと言っても金利水準が低い。10年債利回りは2.22%台だ。イールド・カーブ(利回り曲線)はフラット化が鮮明だ。

 ここからはFRB高官の発言などが材料視されそうだ。

 株式市場は、まだ市場関係者にリスクを取る意欲が通常に戻ったわけではないが、やはり「Show must go on」の声が聞こえる。経済のファンダメンタルズを占める企業業績が改めて吟味されている。

 米市場で相場の予想変動率を示すVIX指数も、2007年以来となった10の大台割れから17日には一気に15台まで急騰したが、18日には14台と、やや落ち着きを見せている。金価格も1トロイオンス1230ドル台から1260ドル台まで急騰したが、1240ドル台まで反落している。

 世界的なマネーの流れを見ると、トランプ政権を巡る不安で漁夫の利を得たのは欧州株だ。フランス大統領選挙で極右大統領誕生が回避され、ドイツ地方選挙ではメルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)の勝利が続いている。長期的な構造問題をかかえつつも、足元では欧州連合(EU)に関する極端な悲観論は後退した。政治リスクを排除すれば、欧州経済はおおむね改善傾向にある。

 いっぽう、外国為替市場の円相場はやはり地政学・政治リスクに起因して円を買う動きと、利上げをにらんでドルを買い円を売る動きの綱引きが続きそうだ。このところの円相場は1ドル=115円の円安水準を試した後、110円の円高水準を試した。このレンジが当面、居心地の良い水準として意識されている。

 ワイルドカードはイランだ。

 反米保守強硬派の候補者が1人にまとまったので、選挙結果がどうなるか、極めて不透明な状況だ。トランプ政権は米国や欧州など6カ国とイランの核合意に基づくイランへの制裁解除を続けると発表しながら、一方で「核開発」ではなく「弾道ミサイル開発」を理由に追加的経済制裁に動いている。第二の北朝鮮といわれるイランの地政学的リスクは、原油生産地に密接するだけに、原油市場にはシリア問題以上のインパクトを与える可能性がある。欧米市場は、対北朝鮮並みの警戒感で見守っている。

 それでも世界のマーケットはまずは「水入り」というところだろうか。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経ヴェリタス「逸’s OK!」と日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層心理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

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