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混戦ダービー、青葉賞組アドミラブルにも好機

いよいよ28日に、競馬の祭典、第84回日本ダービー(G1、東京芝2400メートル)を迎える。3歳馬の頂点を決める大一番だが、クラシック3冠の第一関門、皐月賞(4月16日、同、中山芝2000メートル)を9番人気の伏兵、アルアイン(牡、栗東・池江泰寿厩舎)が制したように、今年の3歳世代は確たる中心馬がいない。皐月賞組だけでなく、別路線からダービーに参戦してくる馬にもチャンスがありそう。特にトライアルの青葉賞(4月29日、G2、東京芝2400メートル)を勝ったアドミラブル(牡、栗東・音無秀孝厩舎)は素質が高い。このレースの出走馬は過去、ダービーを勝ったことがなく、初制覇なるかが大きな見どころとなる。

本番と同条件で一度も勝ちなし

青葉賞は1984年に上位馬にダービーへの優先出走権が与えられるオープン特別となり、94年にG3、2001年にG2に昇格した。距離は一貫して東京芝2400メートルと、本番のダービーと同じ条件で行われているが、なぜか青葉賞出走馬はダービーで勝てない。2着が8回あるだけである。84年以降、前走が皐月賞だった馬がダービーで25勝、2着14回を記録しているのとは対照的だ。重賞となった94年以降の連対率で比較しても、皐月賞組が16.6%に対し、青葉賞組は9.1%とかなり見劣る。

過去10年の青葉賞勝ち馬のダービーでの着順
馬名着順
2016ヴァンキッシュラン13着
15レーヴミストラル9着
14ショウナンラグーン6着
13ヒラボクディープ13着
12フェノーメノ2着
11ウインバリアシオン2着
10ペルーサ6着
09アプレザンレーヴ5着
08アドマイヤコマンド7着
07ヒラボクロイヤル16着

青葉賞組が勝てない理由はいくつかある。ひとつは青葉賞の出走メンバーの水準が例年、それほど高くならないことである。皐月賞に出走できるような馬はスピードや瞬発力をみせて早い段階で勝ち上がり、強い馬と戦ってきている。一方、青葉賞には、2000メートル以下のレースではスピードや瞬発力が足りず、2000メートル超のレースが設定される3歳になってようやく力を発揮できるようになった馬が出走してくる傾向にある。スタミナに光るものがあっても、G1レベルでのスピードや瞬発力にはやや欠ける馬同士の争いになるため、青葉賞を勝っても本番にはつながらないと考えられる。体質が弱いなどで十分な調教が積めずデビューが遅れ、皐月賞に間に合わなかったような馬もいる。青葉賞組はなんらかの弱点を抱えているケースが多いといえる。

もう一つには、3歳春の時点で青葉賞、ダービーと、タフな東京2400メートル戦を連続して走ることの消耗がある。いくらスタミナがあっても、成長途上の馬が1カ月の間に2度、2400メートルを走るのは負担が大きい。特に関西馬の場合は、東京への長距離輸送を2度挟むことになり、さらに厳しさは増す。実際、94年以降、ダービーで3着以内に入った青葉賞組10頭のうち、関西馬は4頭と、関東馬より少ない。ダービーではこの間、関西馬が20勝、2着17回と関東馬を圧倒していることを考えると、関西の青葉賞組は不振と言ってもいい。

では今年の青葉賞組に勝算はあるのか。青葉賞を勝ったアドミラブルはここまで4戦3勝。昨年9月のデビュー戦で9着に敗れた後、今年3月まで休養し、復帰後は3連勝を飾った。喉頭が狭くなり十分な呼吸ができなくなる「喉鳴り」の症状があったが、休養中に手術を行い、症状が改善したことで成績が一気に向上した。復帰戦となった阪神芝1800メートルの未勝利戦を1分45秒8という、3歳春の時点ではかなり速いタイムで勝ったところに潜在能力の高さがうかがえる。

優勝タイムはレースレコード

青葉賞でもその資質を存分に発揮した。出遅れて道中は最後方からの競馬となったが、第3コーナー付近から馬群の外側を回って進出すると、第4コーナーでは先行集団へ。最後の直線では、残り400メートル地点で先頭に立つと後続との差を広げていった。

青葉賞出走馬による日本ダービー初制覇へアドミラブルの調整は順調だ(17日、滋賀県栗東市のJRA栗東トレーニング・センター)

タイムは2分23秒6と青葉賞のレースレコード。昨年のダービーより0秒4速いタイムだった。今年の青葉賞の顔ぶれを見ても他の出走馬のレベルはそれほど高くはなかったとはいえ、広い東京コースで早めに進出して、速いタイムで押し切るという破格のパフォーマンスをみせたアドミラブルに関しては、ダービーでも勝てるだけの能力を示したといえる。

実際に勝てるかは、皐月賞組との力関係がカギになるが、今年のクラシック戦線は牡馬が小粒だ。皐月賞では単勝3番人気までの馬が全て掲示板圏外に敗れるなど、波乱の結果となった。皐月賞の結果が例年のように、ダービーと連動するかは不透明といえる。

特に皐月賞を勝ったアルアインの走破タイムが1分57秒8と、出走馬のレベルの割に速かったのが気になる。過去の結果を見ると、速いタイムの皐月賞の勝ち馬はダービーでは苦戦する傾向にある。1分58秒9より速いタイムで決着した皐月賞は今年を除いて過去に6回。そのうちダービーでも優勝した勝ち馬は15年のドゥラメンテだけ。ほかに馬券圏内に入ったのも昨年のディーマジェスティしかいない。02年のノーリーズン、04年のダイワメジャー、09年のアンライバルド、13年のロゴタイプは全て5着以下に敗れている。タイムの速い皐月賞は短距離志向の強い馬が好成績を残すケースが多く、ダイワメジャーやロゴタイプは古馬になって1600メートルのG1を勝っている。

最近2年間こそ高速決着の皐月賞優勝馬がダービーでも馬券に絡んでいるが、今年の皐月賞馬アルアイン、2着のペルシアンナイト(牡、栗東・池江泰寿厩舎)はともに皐月賞前まで1600~1800メートルで主に戦っていた馬だった。スピードタイプの馬に向いたレースとなったからこそ速いタイムが出たという、13年以前の4度と同じパターンだった可能性もある。今年の皐月賞上位馬が2400メートルで再度好走できるのか。レイデオロ(牡、美浦・藤沢和雄厩舎)など、皐月賞で馬券圏外に敗れた実力馬の方がダービーでは力を発揮できるかもしれない。いずれにせよ、青葉賞組も優勝争いに絡める年ではありそうだ。

ただ、アドミラブルにも不安はある。キャリアの浅さと、大味な競馬で速いタイムを出した青葉賞の反動だ。音無調教師も青葉賞のレース後に「ダメージが心配」と語った。例年以上に難解な、混戦ダービーといえそうだ。

(関根慶太郎)

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