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イチローの打撃の神髄、ゼロコンマ何秒の世界(前編)
スポーツライター 丹羽政善

(1/3ページ)
2017/5/15 6:30
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 この春のこと。米大リーグ、アストロズがバットにICチップを入れることを選手らに提案したと、友人記者が教えてくれた。最終的には撤回したらしいが、彼らはそのチップでいったい、どんなデータを得ようとしたのか。

 13日現在、大リーグ最高勝率を誇るアストロズは、統計分析を駆使したセイバーメトリクスとはまた違った数値の活用に力を入れている。例えば、投手が投げる球の回転数、打者のスイングスピードといった数値で、ICチップの話もオーソドックスに考えれば、スイングスピードを測って何かに生かそうというのだろうが、果たして――。

 同じ頃、マーリンズのイチローの2015年と16年のスイングスピードの変化を紹介した。15年、最も速い4シームに対する平均スイングスピードは56.4マイル。昨年は58.5マイル。その差は2.1マイル(3.36キロ)。上がっているのである。

打撃には心の状態も影響か

 とはいえ、これでは間口が広すぎて、成績とどう関連しているのか手がかりさえつかめない。もう少しかみ砕いて、15年4月1日から17年5月10日まで、10日ごとのスイングスピードの平均値を調べてみた。

 利用したのは前回同様、大リーグの全球場に設置され、投手のリリースポイントやボールの回転数、打者のスイングスピード、打ち出し角度などを瞬時にはじき出す「STATCAST」というシステムで得られたデータを検索できる「Baseball Savant」というウェブサイトだ。かなり詳細な数字がはじき出せるが、それでも4シームに対する全スイングスピードが調べられるわけではない。あくまでも4シームを打ってグラウンド内に飛んだ場合のみの値となるが、結果はグラフのようになった。

 見た目でも顕著なのが15年と比べた場合の16年のスイングスピードの速さ。

 15年は10日のスパンで見た場合、平均値が60マイルを超えたのは2回しかないが、昨年は8回もある。7月は1カ月通して60マイルを超えた。その間、その4シームを打った場合に限っての話だが、11打数5安打(4割5分5厘)という高打率になっている。

 ただあのとき、昨年7月の月間打率そのものは2割5分にとどまった。振り返れば、ちょうど大リーグ通算3000安打へのカウントダウンが始まっており、普段の精神状態を保つことが難しかった時期ではなかったか。イチローも記録達成後、こう心境を吐露した。

 「人に会いたくない時間もたくさんありましたね。誰にも会いたくない、しゃべりたくない。僕はこれまで自分の感情をなるべく殺してプレーをしてきたつもりなんですけれど、なかなかそれもうまくいかず、苦しい時間でしたね」

 スイングスピードを見てもわかるように体の状態は悪くない。しかし、心が乱れれば、全体としてバランスを欠くということか。

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