核融合の夢 レゴで鼓舞 京都大(キャンパス新景)

まるでゲームの一場面から出てきたかのよう。京都大宇治キャンパス(京都府宇治市)の研究室の一角に、赤、青、黄色とカラフルなレゴブロックで作られた複雑な物体がある。
「世界のエネルギー問題を解決する切り札かも」。エネルギー理工学研究所の大学院生、八尾栄彰さん(23)は目を輝かせる。幅76センチ、高さ45センチ。フランスで建設中の「国際熱核融合実験炉(ITER、イーター)」の40分の1の模型だ。
製作したのは大学院生ら8人からなる「京大レゴ部」。「建設が遅れがちな現場を鼓舞しようと」(八尾さん)今年3月、メンバーがフランスのイーター機構本部まで出向き、現地でも4日間かけて実演製作した。今でも本部玄関に飾られているという。
イーターは太陽で起きているのと同じ「核融合」反応を利用し、身近な燃料で大きなエネルギーを生み出すとされる。レゴ部初代部長の笠田竜太准教授は「原子力とは違うが知らない人も多い。レゴなら子供にも興味を持ってもらえる」と話す。
「学者でなく、単なるレゴ好きでもない僕らにしかできないこと」(八尾さん)。担当教官の小西哲之教授も「学生の奇抜な発想を応援したい。面白い取り組みだ」と太鼓判を押す。
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関西2府4県には148の大学があり約59万人の学生が通う。キャンパスの今をリポートする。=土曜掲載