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災害時の水、井戸で備え トイレなどに利用、伊丹市などで設置の動き

2017/5/12 14:14
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災害時のトイレなどに使う水を確保しようと、防災用の井戸を設置する動きが広がっている。飲料用水は支援物資として行き渡りやすいが、トイレなどの生活用水は不足しがちだ。衛生環境の悪化や水分摂取を控えることで亡くなる人もおり、専門家は「快適なトイレの整備を進めることで災害関連死を少しでも減らしてほしい」と話す。

校内に設置された防災井戸(兵庫県伊丹市の市立瑞穂小学校)

校内に設置された防災井戸(兵庫県伊丹市の市立瑞穂小学校)

「ギーコ、ギーコ」。兵庫県伊丹市の市立瑞穂小学校では校庭に設置された真新しい手動式の井戸を児童らが動かし、くみ上げた水で花に水やりをしていた。飲料用ではないが、1回あたり約1リットルの水が出る。阪神大震災を経験した西尾隆校長は「災害時には水が最も大切。普段からの教育にも利用したい」と話す。

同市では2月、災害時に避難所となる17校の市立小学校に防災井戸を設けた。避難所のトイレの排水や清掃に利用することを想定し、停電時にも使えるよう手動式にした。1基あたり約100万円で、県が半額程度を補助する。

過去の大規模地震で設けられた避難所では、水不足からトイレの衛生環境が悪化。なるべくトイレに行く回数を減らそうと被災者が水分摂取を避け、体調を崩すケースもあった。日本トイレ研究所(東京・港)の加藤篤代表は「被災者はトイレの臭いを不快に感じると水分を控えてしまう」と指摘する。

4月に丸1年を迎えた熊本地震でも状況は同じだ。熊本県災害対策本部の担当者は「支援物資で飲み水は確保できたが、生活用水に苦労した」と振り返る。県が今年3月にまとめた検証報告書には改善事項として「重要施設に井戸を設置する」と明記された。

熊本市に本店を置く肥後銀行は4月、県内10カ所の営業店の敷地などで防災用の井戸を掘った。費用は総額で約2600万円。担当者は「熊本は水が豊かだが、地震の際は手に入らなかった」と話し、地域貢献や事業継続に必要と判断したという。

徳島県は3月、「災害時快適トイレ計画」を策定。小学校などで井戸の新設を進めるとしたほか、災害時のトイレを担当する責任部署も明確にした。

熊本地震の被災地を訪れた大阪大大学院の渥美公秀教授(災害社会学)は「避難所では『井戸があって助かった』との声が多く、重要性を再認識した」と指摘。「水はトイレだけでなく、風呂や掃除など生活の基盤であり、全国に防災井戸の取り組みを広げていくべきだ」と話している。

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