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慶応医学部「iPhoneアプリ臨床研究中止」の波紋

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2017/5/19 6:30
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日経デジタルヘルス

 慶応義塾大学医学部が2017年2月末に発表した1本のニュースリリースが波紋を広げている。2015年11月に公開したスマートフォン(スマホ)向けアプリ「Heart & Brain」の提供を、2017年1月21日に中止したとの内容だ。

 研究の進め方について、医学部倫理委員会に申請された研究計画と一致しない部分があったことが判明。医学部長名で研究実施の許可を取り消したのである。

波紋を広げる起点となった慶応医学部のニュースリリース
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波紋を広げる起点となった慶応医学部のニュースリリース

■薬機法の施行契機に高まる機運

 臨床現場でスマホアプリを活用しようという機運は、にわかに高まってきている。背景には、アプリの作成・活用がより身近になってきたことに加え、2014年末に施行された「医薬品医療機器等法(薬機法)」において、スマホアプリなどの単体ソフトウエアが医療機器として認められるようになったことがある。

 アプリが病気の早期発見やコントロールにどのような有効性を持つのか――。そうした視点で実施されるアプリ活用型の臨床研究は今後も確実に増えていくだろう。一方で、新たな形態の臨床研究だけに“前例”が少なく、アプリに特有のスキームも固まっていない。

 アプリを用いた臨床研究では、どのような点への配慮が必要になるのか。そして、アプリ活用型研究にふさわしいガイドラインや倫理規定とはどのようなものか。今回の慶応医学部の一件は、これらを考えさせるキッカケを与えたといえる。

 そこで日経デジタルヘルスは、スマホアプリやそれを用いた臨床研究、医薬品医療機器等法などの法令やガイドラインに関する知見を持つ、複数の業界関係者に取材。慶応医学部の事例から「何を学ぶか」を探った。

■調査報告書はいまだ公表されず

 今回問題となったHeart & Brainは、慶応医学部が米Apple(アップル)のオープンソースフレームワーク「ResearchKit」を用いて開発したiPhoneアプリである。ヘルスケアデータの収集方法を検討したり、不整脈や脳梗塞を早期に発見する可能性を検討したりすることを目的に、ユーザーから広く情報提供に協力してもらうことを想定して開発した。

 慶応医学部はここ数年、医療現場へのICT(情報通信技術)活用に向けた研究を精力的に進めている。日本において、他に先駆けてResearchKitアプリを用いた臨床研究を開始。医療・健康分野のビジネスコンテスト「健康医療ベンチャー大賞」を主催したり、人工知能(AI)の医療応用を促進する「メディカルAIセンター」を設置したりするなど、ICT分野で目立つ動きを見せてきた。

慶応医学部が2017年3月に開催した「健康医療ベンチャー大賞」の決勝大会
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慶応医学部が2017年3月に開催した「健康医療ベンチャー大賞」の決勝大会

 今回の臨床研究中止の措置について、慶応医学部自身はどのような説明をしているのだろうか。2月のニュースリリースでは、Heart & Brainを用いた研究において、医学部倫理委員会に申請された研究計画と一致しない部分が認められたことが要因であるとした。申請された研究計画では、アプリ公開前に慶応大学病院の患者に対して提供し、事前検討を行った上で一般ユーザーに利用してもらうことを想定していた。

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