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高橋監督も葛藤? 巨人・阿部の理想の起用法

故障の影響で2カ月も"遅刻"した昨年の分まで取り返すかのように、シーズン頭から打ちまくった巨人の阿部。チームも開幕5連勝のスタートダッシュを飾った。しかし、その打棒が湿ってからの勝敗はほぼ五分五分に落ち込んでいる。歴戦の疲労を体の節々に抱えて戦う主砲の無事は、今年も巨人の重大事になっている。(記録は5月8日現在)

「僕もあれぐらい走ってみたい」

肩や首に故障を抱えていても、阿部の勝負強い打撃は欠かせない=共同

諦念や焦燥が混じった言葉ではなかったか。4月18日のヤクルト戦のこと。初回に阿部が中前打を放つ。一塁走者の立岡は長駆、本塁まで生還した。試合後、阿部がお立ち台で話した。「僕もあれぐらい走ってみたいです」

単なる後輩への賛辞とは思えないのは、今の阿部にとって長距離の全力疾走は負担が重そうに見えるからだ。

打率3割7分1厘、5本塁打と絶好調だった「4番・阿部」の名前が先発から消えたのは4月22日の阪神戦。38歳の大ベテランは以前から肩や首などに故障を抱えていた。一昨季、負担の重い捕手から一塁へ本格的に転向したものの、長年の重労働に耐えてきた体は万全ではない。

この日の試合後、休養を与えたのかと報道陣に問われた高橋監督は「まあそうだね。(阿部)慎之助ばかりに頼れない」と語るにとどめたが、チーム関係者によると下半身の状態がよくないという。

「いい休養になったか」と問われた本人は「そうだね」とひと言だけ。続く23日は完全に欠場。25日以降の12試合では2試合を除いて先発しているが、ここ10試合は打率1割3分2厘、本塁打ゼロと不調が続いている。

阿部が無安打に終わった27日の広島戦後、高橋監督はかばうように話した。「阿部だって、いつもいつも打てるわけじゃない。一番頼れるバッターであるのは間違いないが」

高橋監督は阿部に厚い信頼を寄せる=共同

厚い信頼ゆえに、打線から外したくない。一方で、無理をして長期の離脱にでもなれば目も当てられない。就任2年目でより結果が問われる高橋監督も、葛藤を抱えて難しい判断を迫られているのだろう。

このあたりの体調管理が巧みな球団といえば広島。40歳の新井や36歳のエルドレッドには適宜休養を与え、決して無理をさせない。主軸に疲労をためず好調を維持するとともに、勝負を決める代打としてもうまく活用する。2人の代わりにスタメン起用する若手・中堅にも実戦の経験を与える効果もある。

主砲の代役務められる選手いる

巨人にも主砲の代役を務められる選手ならいる。今季、阿部の不在時に4番・一塁に入る村田である。

昨季は全試合に出場し、リーグ7位の打率3割2厘を記録。25本塁打と81打点はチーム内の2冠だった。しかし、今季は立場が一転。推定1億9000万円という高年俸のマギーの加入により、半ば強制的に定位置を失い、慣れぬ代打稼業に身をやつしている。

本人にも鬱屈したものがあるようだ。4番・一塁で今季初の先発出場を果たした4月22日の試合後、抱えていた思いが吹き出した。

「楽しかった。ポジションが(本来の三塁手と)違うし、試合への入り方は違うところはあったけれど、いろいろ考えて野球ができた。(自分は)そうやってずっとやってきた。(代打の)一発勝負じゃない。本当に野球をやっている感じがあった」

長年、先発を張ってきただけにまだリズムがつかめないところもあるのだろう。今季は打率2割1分9厘とまだ当たりがでていない。

村田のような実力者がベンチに控えていること自体が他球団には羨ましい話=共同

しかし、村田が4番に入った4試合の巨人の得点は4、1、7、6。サンプルは少なすぎるが、阿部が先発した試合の平均3.4点を上回っている。メンバーの変更が得点の低下にはつながっていない。

日本球界を3年間離れていたマギーを獲得した球団には、選手層を厚くするだけでなく、ポジションの重なる阿部と村田のお尻に火を付ける狙いもあっただろう。

前者は阿部が開幕から打ちまくったことである程度、かなった。後者のメリットの方も、もう少し活用してよさそうに思える。

休養与えて乗り切れれば…

幸い、前後の打者は当たりが続いている。開幕から5番・三塁に入っているマギーは「前の2人が出塁してくれるので、自分の仕事は返すこと」という言葉通りにチーム打撃を徹底。打率3割7厘に4本塁打、21打点と十分な数字を残している。

3番坂本に至っては、セ・リーグ首位の打率3割8分1厘。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の疲労などどこ吹く風の絶好調だ。

今のうちに阿部にうまく休養を与えて乗り切ることができれば、坂本、マギーの調子が落ちたときに、主砲の勝負強さを生かせるようになりそうだが。

それにしても、村田のような実力者がベンチに控えていること自体が他球団には羨ましい話。どうやりくりするか、高橋監督ならではの難題だろう。

(谷口誠)

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