脳とコンピューターを直結する技術に開発熱

2017/5/1 13:14
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脳の信号からコンピューターを操る技術「BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)」の開発熱が、シリコンバレーで高まっている。米テスラや米スペースXの創業者として知られるイーロン・マスク氏が新会社を設立。米フェイスブックも専門の研究チームを立ち上げた。BMIは日本でも研究が進む。2020年ごろの実用化をにらんだ開発競争が激しくなりそうだ。

マスク氏は4月20日、かねてうわさになっていた新会社「ニューラリンク」の概要を明らかにした。主要メンバーには、米IBMで人間の脳を模した構造を持つプロセッサーの設計を手掛けた技術者や、生体適合性のある素材の専門家、神経外科医などを起用した。

電気自動車(EV)のテスラと宇宙開発ベンチャーのスペースXでも十分に多忙なはずのマスク氏が、自ら最高経営責任者(CEO)に就任するあたりに、本人の意気込みがうかがえる。

ニューラリンクは、脳に埋め込んだ超小型の電極とコンピューターを無線でつなぎ、「念じる」だけで操作できる技術を目指している。

脳に移植しても問題が起きない電極の開発など、実用化に向けて克服すべき課題は多いが、まずは4年後をメドに、脳に重い障害を持つ患者向けの製品を発売しようとしている。

マスク氏は「規制の動向や障害者向け製品の出来によるが、8~10年後には誰でも使えるようになる」と語る。

一方、フェイスブックは、昨年新設した先端技術研究部門「ビルディング8」内にBMI専門のチームを立ち上げた。同社は外科手術で電極など特殊なセンサーを脳に埋め込む代わりに、着用可能なセンサーを使用する方式だ。

このセンサーで、言葉を発したり文字を書いたりするときに使う脳の動きを読み取って、文章を入力する技術の開発を進める。

ビルディング8を率いるレジーナ・デューガン氏は先月、「1分間に100個の言葉を思い浮かべるだけで、入力できるようになること」が、BMIの当面の目標としている。

デューガン氏は、米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)の局長を務めたことがある人物だ。野心的なプロジェクトに、外部の研究者を2年間の期間限定で招くDARPA方式をフェイスブックにも導入した。米ジョンズホプキンズ大学の神経科学者、マーク・シェビレット氏などがBMIのチームに加わっている。

マスク氏とフェイスブック以外では、13年に米イーベイが買収した電子決済サービスの米ブレインツリーを創業した起業家、ブライアン・ジョンソン氏も虎視眈々(たんたん)。昨年、BMIの実用化を目指すベンチャー、米カーネル(カリフォルニア州)を設立している。

(シリコンバレー=小川義也)

[日経産業新聞5月1日付]

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