製造資材流通、ネットで変革 430万点の価格比較

2017/4/28 6:30
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電子部品や工具、工作機械など工場で使う間接資材の購買をインターネットで支援するのがアペルザ(横浜市)だ。石原誠社長(41)はキーエンス出身で、製造技術のデータベース事業を14年間運営した経験を持つ。メーカーの系列にとらわれずに幅広く製品を取り扱うことで「製造資材の新たなプラットフォームを提供したい」と意気込む。

430万点の製品情報を収録する工業用資材の価格検索サイト「アペルザ」の画面

430万点の製品情報を収録する工業用資材の価格検索サイト「アペルザ」の画面

間接資材に目を付けたのは市場規模が20兆円以上と大きいからだ。少量または不定期の取引が中心で、調達先を固定していない企業が多く「流通面で改善の余地が大きい」と考えた。実際、市場には4万社を超える商社が存在し「メーカー担当者の設計時間の70%は部品探しに費やされている」と指摘する。

主力サービスの「アペルザ」は工業用資材の価格検索サイト。リレーやスイッチ、モーター、ドリルの刃、ヘルメットなど間接資材を扱う電子商取引(EC)サイトの販売情報を集約し、一覧できるようにしている。オムロンや楽天など約40社が出店、約430万件の製品情報を収録する。仲介した客が購入した場合などに報酬を得る。

ECサイトの取引だけでなく、オフラインの販売価格も掲載しているのが強みだ。「今まで不透明だった販売価格をオープンにし、製造業の調達業務に革新を起こしたい」と鼻息は荒い。

昨年12月のサービス開始当初からアマゾンジャパン(東京・目黒)と協業し、同社が持つ製品価格情報を掲載。1月には電子部品情報サイトを運営する米オクトパートと提携し、海外の製品価格情報も載せ始めた。

もう一つの主力サービスが工業用間接資材カタログのポータルサイト「クルーズ」。部品に加え工作機械やロボットなど3千社を超すメーカーのカタログ1万点以上を収録する。「よく使われる部品メーカーは約1万社」といい、その3割ほどを網羅する計算だ。

ものづくりの調達担当者は資材メーカーに個別に連絡し製品カタログを取り寄せ比較検討する。クルーズを使えば複数のメーカーのカタログを一括してダウンロードでき業務効率を上げられる。

掲載は無料。月額3万~10万円の有料プランでは利用者情報の取得やメール配信ができる。昨年10月の本格開始以来、利用者は10万人を超える。

カタログで部品購入を検討するにはクルーズ。さらに販売価格を比較するにはアペルザ。2つのサービスが補い合い、利用者の満足度を高める。

石原氏は大学卒業後、産業用センサーメーカーのキーエンスに入社。コンサルティング営業を経て、2001年から社内ベンチャー制度を利用して製造技術のデータベースサイト「イプロス」の立ち上げに参画した。

イプロスは月間180万人が利用、約4万社が出店する国内最大規模の製造業サイトに育ったが、石原氏は限界も感じていた。「キーエンスの競合メーカーの製品情報をサイトから落とさざるを得なかった」からだ。

中立的なサイトをつくれないかとMBO(経営陣が参加する買収)を提案したが認められず、独立を決意。アペルザの前身となるクルーズを創業したのは15年だった。

昨年7月にはものづくりの専門紙を発行するオートメ新聞などと経営統合し、アペルザを発足させた。主力のアペルザ、クルーズの2本柱でけん引し、17年6月期の売上高は5億円を見込む。

世界を見渡すと、ドイツや米国などでネットと製造業を結びつけた「第4次産業革命」の動きが加速している。アペルザは北米のシアトルに市場調査の組織を昨年9月に設け、今年3月には元ソニー社長の出井伸之氏ら3人のエンジェル投資家から資金を調達し、経営顧問に迎えた。海外進出の準備を着々と進める。

アペルザによると間接資材のネット取引の比率は現在1.5~3%程度にとどまる。これを「10%に引き上げ」て、日本の製造業の競争力強化につなげるのが石原氏の狙いだ。

(企業報道部 鈴木健二朗)

[日経産業新聞 4月28日付]

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