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失敗から学ぶ 巨人・坂本勇ら一流選手の共通点
元プロ野球選手 鈴木尚広

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2017/4/30 6:30
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昨季を最後に20年間の現役生活に別れを告げた。僕のように去る者がいる一方、今年も多くの選手がプロ野球の世界に飛び込んできた。彼らは皆、選ばれた人たちだ。けれども生き残っていけるのは一握りだけ。一流になれるのはさらに少ない。運も実力のうちという通り、成功するには運や巡り合わせもモノをいう。しかしセンスや運だけで長く活躍することはできない。僕の経験に照らして、成功する選手の共通点を考えてみたい。

「気付きのアンテナ」が大切

坂本勇ら必要なものに気付ける選手は練習や準備の仕方が違う=共同

坂本勇ら必要なものに気付ける選手は練習や準備の仕方が違う=共同

まずは「気付きのアンテナ」だ。プロに入るとアマチュア時代にはできていたことが簡単にはできなくなる。そんなとき、与えられた練習を漫然とこなし続けるだけでは成長はおぼつかない。なぜ失敗するかを考え、そこから成長の種を見つけられる選手は伸びる。

後に「代走のスペシャリスト」と呼ばれるようになった僕も若い頃は失敗ばかりしていた。けん制タッチアウト、盗塁失敗でゲームセット……。当時は「とにかく走らなきゃ」と闇雲にスタートを切るだけだった。だが苦い経験を積むうちに、盗塁成功のカギは相手の観察にあることがわかってくる。投手の癖を知り、配球を読む。その大切さに気付くだけで成功率は大きく変わる。「失敗にはうまみがある」というのが僕の持論。失敗から学べる選手なら、試合でのミスも先行投資と割り切れる。首脳陣も腰を据えて使いたくなる。

伸びる選手の頭の中には、いつでも多くのクエスチョンマークが浮かんでいる。「どうしてうまくいかないのか?」「あの選手はどうしてできるのか?」。その理由を突き詰めて考え、わからなければ聞きにいく。巨人でいえば坂本勇人がそんなタイプだ。彼は好奇心旺盛な野球小僧そのもの。僕もよく走塁について質問を受けた。

だが坂本のようなタイプは多くない。僕は現役の後半、代走で出ることが多かった。38歳になれば走るスピードは当然落ちるから、それを補う入念な準備やトレーニングをして試合に臨んでいた。だが大半の若手は「鈴木さんは特別」「鈴木さんだからできるんでしょ」で終わらせてしまう。「38歳でもなぜ高い成功率を維持できるのか」と考えるところから始めれば、参考になる発見があるはずなのだが……。

孤独に強く一喜一憂しない

鈴木尚広氏

鈴木尚広氏

2軍から抜け出せない選手は自立していない。いつも群れて、和気あいあいと楽しそうにしている。「みんなが練習するならしよう」「みんながやらないなら自分もやらない」。集団に身を投じているだけで安心してしまい、手遅れになったころに「もっとやっておけばよかった」と気付くのだ。

一方、自分に足りないもの、必要なものに気付ける選手は練習や準備の仕方が違う。一流選手は例外なく孤独に強い。やるべきことが明確だから、ひとりでも納得いくまで黙々と練習をする。いまの巨人でいえば坂本、菅野智之らがそう。一昔前でいうと、先日のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表の監督を務めた小久保裕紀さん、小笠原道大さん(現中日2軍監督)の意識の高さにも驚かされた。孤独な厳しさには悲壮感さえ漂っていた。

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