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1つの種目に固定しない 子どもに正しい走り方を(下)
ランニングインストラクター 斉藤太郎

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2017/4/30 6:30
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小学生や中学生のお子さんを持つ保護者の方々から「今の時期に取り組むべきことは何ですか?」という質問をよく受けます。シリーズ「子どもに正しい走り方を」の最終回はこの点について考えてみたいと思います。

サイズはまだまだ大きくなる

小学生から中学生にかけては、身長が1年間に10センチ近く伸びることも珍しくありません。服もシューズのサイズもあっという間に小さくなってしまいます。背が高くなるということは、脚も腕も丈が伸びていくということです。ランニング中に振り子のようにスイングを繰り返している脚と腕。この先も伸びる過程にある子どもの脚と腕がスイングするのと、大人の理想のフォームとでは意味合いが異なることを押さえておくべきです。

小学生から中学生にかけて子どもたちは成長途上にある

小学生から中学生にかけて子どもたちは成長途上にある

運動の力の伝達は「体幹→末端」という順番が基本です。体の幹と書いて体幹。木に例えると、太い「幹」から生み出したエネルギーを細い枝先へと伝えるイメージ。投げる、蹴る、走る、さまざまな動作において、おおむねこの基本が当てはまります。一番始めは体幹から生まれた力。それを上手に腕先、脚先へと伝えられるかどうか。このあたりが大切なチェックポイントです。

振り子の丈、伸び続ける時期

腕や脚の振り子がこの先もまだまだ伸びる将来を控えていての今の走り(ランニングフォーム)だと言いました。大人と比べて振り子が短い。ということは、その分、楽に大きく動きますが、一方で粗削りな面が伴います。脚は腰の位置よりもはるかに高く上がり、腕振りでは肘を後ろにグイグイ引くことができます。コーナーリングで外側の腕を思い切り回すように振りながら走る子もいますが、ああいった粗削りなところが特徴です。

このような成長過程でフォームを細かく固定してしまうアドバイスは避けた方がよいでしょう。きれいな軌道を描くこと、いわば洗練された動きを求めるよりも、体幹から末端への力の伝達ができているかをチェックしながら動作の勢いを大切に見守ってあげてください。

体幹が固まってしまった子や、膝から先で走るような子には、いま一度、力の伝達の基本を身につけるために2つのメソッドを紹介します。

(1)ハイハイ15メートル+ダッシュ20メートル
 肘・膝が床を擦るようにハイハイし、体を起こしてダッシュ。肩甲骨と骨盤を使った走り方が体得できます。
(2)大きく振りかぶってのボール投げ(オーバーハンド)

大きく体幹をしならせて生み出した力を指先に伝えて弧を描くようにボールを投げます。私はよく「釣りざおみたいに体を大きくしならせて」と例えています。

肘・膝が床を擦るようにハイハイし、体を起こしてダッシュする

肘・膝が床を擦るようにハイハイし、体を起こしてダッシュする

タイムや回数重視のトレーニングには疑問を感じます。同世代で実業団まで競技を続け、全日本中学校選手権で優勝した方が言っていました。「ピューっと気持ちよく走れていた中学生の頃の感覚が最高だった。その後はあの感覚は取り戻せなかった」。理由は特定できませんが、身体の丈が落ち着いたときに最も感触よく走れるフォームが身についているのが理想ではないでしょうか。

回数重視ではこんな弊害も。「腹筋30回」と指示したとします。体育座りから上体を倒し、下腹部の筋肉を使って持ち上げるスタンダードな形。ここで回数に意識が向くと肩をガチガチに力ませ、背は猫背。息を止めるような力みで30回をこなす子が出てきます。これでは単に腹筋動作のための腹筋運動にすぎません。「腹筋を使う際は肩も同時に力を入れる」というセットのプログラムが脳にインプットされてしまい、頑張る局面で肩をいからせ、歯を食いしばり、浅い呼吸で走ることになります。効率が悪い走り方です。

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