送金に利用も、「業務用ブロックチェーン」で本命争い

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2017/5/22 6:30
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■ブロックチェーンの標準目指す

分散台帳技術の標準を目指したソフトウエアの開発も進んでいる。

Linuxを普及促進するための非営利団体、The Linux Foundationによるブロックチェーンのオープンソースソフトウエア(OSS)開発プロジェクト「Hyperledger Project(ハイパーレッジャープロジェクト)」は、ブロックチェーンソフト「Hyperledger Fabric v1.0」を2017年春にリリースする。

ハイパーレッジャープロジェクトは、企業の業務システム並みの安定性と信頼性を持つ分散台帳技術のOSSを開発するプロジェクトである。プレミア会員として米IBM、米インテル、米アクセンチュア、日立製作所富士通などのIT企業、米JPモルガン・チェースや米CMEグループなどの金融機関、仏エアバスや独ダイムラーなどの製造業が名を連ねる。

ハイパーレッジャーは複数のOSSから成る。現在は米IBMと米デジタル・アセット・ホールディングス(DAH)が主導する「Fabric(ファブリック)」のほか、米インテルが主導する「Sawtooth Lake(ソーツースレイク)」、日本のスタートアップ企業であるソラミツが主導する「Iroha(いろは)」の開発が進む。米R3が主導する「Corda(コルダ)」も加わる見込みだ。当初からプロジェクトの中核的存在だったファブリックが、まずは正式版として名乗りを上げた格好である。

ファブリックの特徴は、台帳データを操作するプログラム(スマートコントラクト)の実行基盤が、Go言語やJavaといった汎用的な言語に対応し、業務システムの開発者がアプリケーションを開発しやすい点だ。

今回のv1.0へのバージョンアップに伴い、標準の合意アルゴリズムを変更したことで、トランザクション処理性能が従来の数倍となる数百件/秒、IBMの試算では1000件超/秒に拡大。さらに、取引データを全員が共有せず、限られたメンバーのみで共有する機能も加わった。これにより、取引の高速性と秘匿性が求められる金融用途に適用しやすくなったという。

日本では、日本取引所グループ(JPX)などが2016年4~6月にかけて、開発中のファブリックを使った実験を日本IBMと共同で実施している。JPXは2017年春にも、新たな実験を「ファブリックv1.0」を使って始める見通しだ。

■日本オラクル、NTTデータパナソニックなども動く

ブロックチェーンを格好の商材とみるITベンダーは、IBMだけではない。日本オラクルは2017年3月から、分散国内スタートアップ企業のOrb(オーブ)が開発した分散台帳技術「Orb2」の提案活動を本格的に始めた。

国内の地方銀行などを対象に、顧客のデータセンター内にオラクルのクラウド環境を構築する「Oracle Cloud at Customer」とOrb2を組み合わせ、地域通貨システムへの応用などを提案している。

NTTデータとパナソニックが注目したのは、国内ITスタートアップのソラミツが開発する「Hyperledger Iroha」。両社を含むIT企業5社が2017年3月29日、Irohaの開発パートナーに名乗りを上げた。ユースケースの検討に加え、OSSの開発自体にも参画する。

デジタルガレージは、同社が出資するカナダのスタートアップ企業であるブロックストリームと組み、ポイントや電子マネー、仮想通貨などをリアルタイムに交換するシステムを共同開発している。

ブロックストリームは2017年4月3日、ブロックチェーンの中で取引している複数の資産トークンの種類と取引額を暗号化し、取引の当事者以外は閲覧できないようにする秘匿技術を開発したと発表した。これに合わせてデジタルガレージとクレディセゾンカカクコムが共同で設立した研究開発機関「DG Lab」は、この秘匿技術を応用し、商用利用に必要な秘匿性を備えたポイント交換システムのサンプルコードを公開した。今回の秘匿技術およびサンプルコードを、今後の商業用ポイント交換システムの開発に生かすとみられる。

インフォテリアはカレンシーポートやテックビューロと組み、安定したレートで日本円と交換できるデジタルトークン「Zen(ゼン)」をブロックチェーン上で流通させる社会実験を2017年5月15日から始めた。

インフォテリアが事務局を務めるブロックチェーン推進協会(BCCC)がトークン発行の主体となり、1円相当の仮想通貨(ビットコインなど)に対して1Zenを発行する。この発行益を原資に、Zenを扱う取引所に対して1Zen=1円でトークンを購入する買い注文を提示することで、Zenの価値をほぼ日本円と連動(ペッグ)させることを目指す。参加企業同士の取引もZenで実施する。

新市場の開拓に向けて、当面は複数の分散台帳技術が併存し、互いに有望な応用例をいち早く見出すのを競う構図となりそうだ。

(日経コンピュータ 浅川直輝)

[ITpro 2017年4月12日付の記事を再構成]

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