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球場のファン対応は十分か 大谷交代で考えたこと
スポーツライター 浜田昭八

2017/4/23 6:30
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「大谷翔平をナマで見たい」という老妻の求めに応えて、4月8日のオリックス―日本ハム戦を京セラドーム三塁側スタンドで観戦した。内野A指定席の入場料は3200円。往復交通費、弁当代などを合わせて1万円超の出費は、老夫婦の娯楽費として決して安くない。個人的にはファンの視点で野球を見るという、貴重な体験ができたが……。

オリックス戦の一回、三ゴロで一塁へ走る大谷。左太もも裏を痛めて途中交代した(8日)=共同

オリックス戦の一回、三ゴロで一塁へ走る大谷。左太もも裏を痛めて途中交代した(8日)=共同

四回、日本ハムの攻撃で悲鳴が沸き上がった。「大谷に代わってピンチヒッター横尾(俊建)」がアナウンスされたときだ。たまたま隣り合わせた元高校球児の青年は「えっ?」と言ったきり絶句した。東京からやってきた大谷ファン。会社の研修で来阪した機会に、貴重な時間を割いて観戦したのだ。

背番号「11」のレプリカユニホームを着た女性ファンが多い。他球団の女性ファンと違い、大谷のお姉さん、お母さん世代が多いような気がした。初回の第1打席で大谷が三ゴロに倒れたときは、「残念」と言いながらも、スマートフォンで熱心に動画を撮っていた。さて、第2打席もと意気込んだ直後だ。「えー、なぜ」の大合唱だ。

お目当ての選手どうなった?

席の後ろに陣取ったグループの中に、1人だけ遅れて来場した人がいた。お目当ての大谷をひと目も見ることなく観戦を終えた無念は、察して余りある。予測できない故障者が出て、ひいきの選手を見ることができないのは、スポーツ観戦でよくあること。不運とあきらめるしかないと、嘆く妻をなだめたが、納得するはずもなかった。

このケースでの球団のファンへの対応に、ひと言いたい。テレビ観戦するか、ラジオ中継を聞いているファンは、ベンチリポーターが取材した情報によって、お目当ての選手の動静がわかる。だが、入場料を払ったファンは、一体なにが起こったのか、さっぱりわからない。

何年か前に米シアトルで目撃したケース。マリナーズの先発投手がプレーボール直後の2球目に猛ライナーの直撃を受けて倒れ、退場した。ほどなく、電光板に「NO FRACTURE(骨折なし)」と、病院での診断結果が知らされ、観客は胸をなで下ろした。これなら日本の球場でもできるサービスではないかと後日、球団関係者にただした。「落合(博満、元中日監督)さんのように、戦略上の理由で故障の状態まで隠す人がいるから……」と首をかしげられた。

出身校、体のサイズ、これまでの成績など、選手の基本情報は、どの球場でもこまめに電光板で知らせている。だが、故障など突発的な出来事への対応は不十分だ。大谷の状態を知らせると同時に、代わった横尾のプロフィルも知りたい。2011年夏の甲子園大会で優勝した日大三高の4番打者で、慶大でも活躍した選手と知らせるだけでもよかったのではないか。

西武球団の元オーナー堤義明さんがよく言っていた。「言い方はよくないが、観客の大半は"素人"だ。われわれは"玄人受け"を歓迎する傾向があるが、素人ファンをもっと大事にしなければならない」。確かに、野球を深く理解した人ばかりが球界を支えているのではない。

投打どちらかに絞るなら…

さて、このところ大谷の投打二刀流に対する疑念の声がよく聞かれるようになった。再三の故障は、二刀流強行による肉体的負担が原因ではないかと見る向きが多い。確かに、実戦にエネルギーを割くことで基本的なトレーニングが不足しているかもしれない。若いうちはまだしも、年をとると体力強化不足のツケが回ってくる恐れがある。

だからといって、投打のどちらかを捨てろとは勧め難い。160キロ近い速球を投げて10勝、指名打者として3割、20ホーマーを同時にマークできる希少な実力者だ。万全の故障対策を施して、まだ数年は二刀流を続けられないものかと思う。

仮に投打のどちらか一本に絞らなければならないとしたら、打者に専念するのがいいのではないか。理由は単純だ。先発投手だと1週間に1度しか登板しないが、打者なら毎日、ファンの前に登場する。興行を打つプロなら、これほど集客力のあるスターを毎日見せない手はないだろう。

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