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ゴルフやゴルフ場 次世代へ引き継ぐために
公益財団法人ゴルフ協会専務理事 山中博史

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2017/4/19 6:30
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複雑な形状のバンカーをつくれば、乗用芝刈り機が入れないので人手で芝を刈るしかありません。池をつくれば水の処理が必要になるといった具合におカネがかかることばかりです。クーア氏は「ボールをカップに入れる打数を競うターゲットゲームがゴルフの本質であることを考えて、コースを設計すべきだ」と指摘します。

さらにコースが長くなればなるほど、プレーに時間がかかるようになり、ただでさえ「1日かかるスポーツ」といわれるゴルフを敬遠する人が増えてしまう。このようにサステナビリティーという観点から考えると「コース設計者の責任は大きい」というのです。

ゴルフの本質に合致しているか

この主張は以前からゴルフ関係者の間で論議されていたものです。例えば世界的なコースで距離が7000ヤードに満たないコースはたくさんあります。超名門のパインバレー・ゴルフクラブ(米ニュージャージー州)やサイプレスポイント・クラブ(カリフォルニア州)も7000ヤードありません。マスターズが開かれるオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ(ジョージア州)にしても今でこそ7400ヤードを超えますが、以前は6800ヤード台でした。

ビル・クーア氏は「ゴルフの本質を考えたコースを設計すべき」と説いた

ビル・クーア氏は「ゴルフの本質を考えたコースを設計すべき」と説いた

確かにプロの試合を開催するため、彼らの飛距離に合うようにコースを長くすることは必要かもしれません。しかし、それがゴルフの本質に合致しているかどうかは議論の分かれるところです。

クーア氏がマスターズで2回優勝のベン・クレンショー氏と組んで改造を手掛けたパインハーストは、フェアウエー両側の木を大胆に切って砂地にして、そこに茎の強い草を植えてハザードにしました。当然のように一部のメンバーからは反対意見が出ました。木はコースの景観やデザインの大切な要素であり、愛着を持っている人は多いからです。

クーア氏は「反対したメンバーの気持ちは十分にわかる。だから私が基本にしたのは、パインハーストの設計者ドナルド・ロスが今のパインハーストを見たら何と言うだろうか、ということだった。たぶんロスは『これはオレのコースじゃない』と言うだろう。ではロスの意図したコースにどうやったら近づけるのか、を常に意識した」そうです。

パインハーストは今回の改造でかつての姿を取り戻すと同時に、散水量や樹木・芝生の維持管理コストを大幅に削減できました。さらに試合でもフェアウエーを外すと、ライの悪い砂地や、茎の強い草近くに球が止まってしまうリスクやペナルティーも払わなければならなくなる、というゴルフ本来の楽しさや難しさを演出できたのです。

彼の講演は、世界のゴルフ界がコースの環境負荷を考えたサステナビリティーを重視した流れになって動いていることを再認識すると同時に、トーナメントを開催する立場として考えさせられることが多かったのです。

次に話題となったのは、ルールについてです。ご存じの通り、1774年の記録にあるゴルフのルールは最初13項目しかなかったそうですが、今では200ページを超える規則にまで膨れあがりました。加えて、分厚い裁定集まであり競技委員でさえ裁定にまごつくようなケースがあります。今回、R&Aと全米ゴルフ協会(USGA)が提案したルール改定案(JGAのホームページにも紹介されていますのでご覧ください)は、「ゴルフをよりシンプルに、より楽しくプレーできる」ルールにしようというものです(R&AとUSGAはこの変更をゴルフの近代化という呼び方をしています)。これは、これからゴルフに取り組もうという人たちを意識したものです。

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