/

次の25年考える Jリーグ外国人選手・監督OB会

昨年11月、飛行機の墜落事故でサッカーの選手、監督、コーチ、クラブスタッフを失う悲劇に遭ったブラジル1部リーグのシャペコエンセを先月、訪問してきた。

サンタカタリーナ州のシャペコの空港で現会長、副会長、市長らと会い、日本のファン・サポーターからのメッセージカードを手渡し、元千葉のケンペス、柏のクレーベルら亡くなった選手たちの映像を一緒に見た。

クラブは事故で実質的に消滅したが、関係者の尽力で短期間のうちにブラジル全国選手権、リベルタドーレスカップなどを戦えるまでに復活している。町を挙げてクラブを再生させようという情熱を今回の訪問で確認できた。

訪問スムーズ、ジーコのおかげ

Jリーグは主管試合の会場で行った義援金募金を今後も続け、リーグから拠出する100万円と合わせて、8月15日のスルガ銀行チャンピオンシップ(浦和と対戦)のため来日するシャペコエンセに贈る。また、シャペコエンセのユースチームを日本に招待することも決定している。

スルガ銀行チャンピオンシップの優勝賞金は3000万円。彼らにとっては大きな額で、「もし獲得できたらクラブハウスの改築に回せる」という話が出た。

この訪問がスムーズに進んだのは、元鹿島のジーコが間に立ってくれたからだ。自らすすんで事前にシャペコに足を運び、調整してくれていたらしい。

私は欧州回りでブラジルに向かい、リオデジャネイロでジーコと合流し、サンパウロを経由してシャペコに入った。長い搭乗待ちの間、ジーコのところには次々とファンが寄ってきて、一緒に写真を撮ってほしいと頼んだ。

結局、私が撮影役をすることになり、数え切れないほどシャッターをきった。ジーコは一度も嫌な顔をせず、自分から相手の肩に手を回し写真に収まっていた。私はその姿に本物のプロフェッショナルを見た。

気軽にファンとの記念撮影に応じるジーコ氏(右から2人目)=Jリーグ提供

と同時に、「神様」ジーコがブラジルのファンと自然に触れ合う様子に軽い衝撃を受けた。こういうことをJリーグの選手たちがしているだろうか。クラブ関係者が選手をいわば隔離してしまうことが多いのではないか。

ジーコは道中、何度も「Jリーグのためになりたい」と本気で言ってくれた。そこで私はとっさに、こう口にした。

「Jリーグは発足から25年を経た。次の25年に向けて一つお願いがある。Jリーグに在籍したことのある外国籍の選手、監督のOB会をつくるので、その会長になってくれませんか」

OB会をつくること自体、Jリーグの会議にかけたわけではなく、私の思いつきにすぎないが、つい口走ってしまった。それをジーコは前向きに受け止めてくれた。

8月のスルガ銀行チャンピオンシップで来日するので、それまでに就任の条件やOB会の活動方針などを決めておきましょうという意思を伝えた。

JリーグのOBには世界的な選手、監督がそろっている。ざっと名を挙げてみると、リネカー、リトバルスキー、ブッフバルト、ディアス、ストイコビッチ、ストイチコフ、ラウドルップ、スキラッチ、カレカ、ドゥンガ、レオナルド、エムボマ、洪明甫、黄善洪……。

ジーコ氏が子供時代に練習したサッカー場が今も残る=Jリーグ提供

監督にもベンゲル、オシム、ケイロス、オジェック、アルディレス、フェリペ、トニーニョ・セレーゾ、レオン、ハシェックらビッグネームが多い。

Jリーグには世界的に名のあるこれだけの選手、監督との縁がある。彼らはJリーグの無形資産であるにもかかわらず、我々はこのレジェンドたちの価値を軽視しているのではないか。

シャペコエンセへの訪問はジーコが出てきてくれたからこそ、終始、円滑に進めることができた。ジーコの仲介があったから、相手の対応がより前向きになり、シャペコ市長まで出てきて我々を歓迎してくれたのだと思う。

Jクラブの選手が海外に移籍する際、国際親善試合を組む際、アカデミーのチームが海外遠征する際、世界に散らばっているJリーグOBにサポートしてもらえることがたくさんあるはずだ。

JリーグのPRをOBたちにしてもらうこともできる。Jリーグの現状をまとめたリポートを彼らに渡しておけば、Jリーグの国際的なステータスアップに力を添えてくれるだろう。

Jリーグのあるべき姿見えてくる

今回、ジーコはシャペコエンセの幹部に「Jリーグでは給料の未払い、遅配は決してない」「日本は安全で、日本人は親切」という話をしてくれた。未払いがないという話に相手側は驚嘆の声をあげた。

それを聞き、そういうことが海外ではリスペクトされるのものなのだと気づいた。ジーコの視点でJリーグを見ることで、ふだん感じずにいるJリーグのよさ、価値に気づくことができた。クラブライセンス制度が整備されていることも、その一つかもしれない。

OB会の会長にはやはりジーコ氏(左)がふさわしいと思う=Jリーグ提供

内側にしか視点がないと主観的なとらえ方に終始してしまう。しかし、外側に視点を置くと、ものごとを客観的にとらえることができる。外から見ることで整理されることがある。

ジーコの視点、海外のJリーグOBの視点でJリーグを見ることで、Jリーグの価値、あるべき姿、将来像が見えてくるはずだ。海外にOB会をつくる意味はそこにある。

私の頭の中では想像がどんどん大きなものになってきている。手始めにJリーグに在籍したすべての外国籍選手、監督のリストの作成に取りかかった。たとえば各大陸連盟に支部をつくったらどうだろう。定期的に集まり、Jリーグの現状と将来、より高いステージに上がるためのプランを語り合ってもらいたい。

Jリーグの歴史を築いてきてくれた人たちの声を聞いて、Jリーグの未来図を描いていく。そのとりまとめ役にジーコに就いてもらう。このプランが実現できたら、だれでもジーコこそがOB会長にふさわしいと思うだろう。=文中敬称略

(Jリーグチェアマン)

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン