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レアルvsバイエルン、事実上の欧州CL決勝

11日から準々決勝

サッカーの欧州チャンピオンズリーグ(CL)の準々決勝(ホーム・アンド・アウェー)が11日から始まる。楽しみなカードばかりだが、中でもバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)―レアル・マドリード(スペイン)戦は事実上の決勝といってもいいだろう。

昨季、史上最多の11度目の優勝を果たしたレアルは1990年のACミラン(イタリア)以来の連覇を狙う。対戦するバイエルンの監督が、2年前までレアルを率いて2014年に欧州王者に導いたアンチェロッティというところが興味深い。

共通する選手ありきのサッカー

アンチェロッティ時代のレアルと、ジダンが率いる現在のレアルに違いはほとんど感じない。2人とも大物選手たちに気持ちよくプレーさせ、うまく調和させることで、結果を出してきた。

選手を戦術で縛らない。自分のやりたいことをごり押しせず、選手ありきのサッカーをする。その前提として選手の序列をはっきりさせ、不協和音が起こらないようにしている。それができるのはアンチェロッティもジダンもカリスマのある人物だからだ。

現在もレアルの攻撃が基本的にはロナルド、ベンゼマ、ベイルの3人にお任せであるのは変わらない。高速のカウンターを最大の武器とする。

ただし、最近はバランスがいいとはいえず、おかしなボールの奪われ方をして相手のカウンターも受ける。ベイルが故障上がりで、ベンゼマも本調子といえないため、相手を圧倒するには至らない。

試合中に監督が何かを大きく修正するようなことはなく、選手の感性に任せているので、穴は必ずできる。そこにレアルの危うさがある。

準々決勝第1戦の4日前にスペインリーグ3位のアトレチコ・マドリードとのダービーマッチがあるのも気になる。レアルは現在、リーグ首位でバルセロナと激しい優勝争いをしているため、アトレチコ戦も重要な意味を持つ。ジダンが選手をどうやりくりするのかに注目したい。

対するバイエルンはドイツリーグを独走しているため、欧州CLに集中できる。しかも現在、チームは絶好調といっていい。

レアルのロナルドやバルセロナのメッシのような存在はいないが、レバンドフスキ、ミュラー、ロッベン、ドウグラスコスタ、リベリ、チアゴ、ビダルら攻撃陣は層が厚く、アンチェロッティがうまく使い分けている。

前監督のグアルディオラ(現マンチェスター・シティ監督)は次から次へと新しいアイデアを出し、斬新なサッカーを志向した。

選手たちは最初のうちはいい刺激を受け、夢中になっていたが、そのうち頭が疲れて、ついていけなくなってしまったのではないか。「そこまでいじらなくてもいいんじゃないか」という不満もあったはずだ。

対照的にアンチェロッティのサッカーはオーソドックスだ。選手は余計なことを考えなくて済む。「やっぱりこれだよね」という感じで、安心してサッカーができているような気がする。

野心的でスペクタクルを求めるグアルディオラ式はドイツに合わなかったのかもしれない。同じく斬新なトゥヘルが率いるドルトムントがおかしくなってしまったのを見ても、そう感じる。アンチェロッティのように堅実で実務的ともいえる監督のほうがドイツのクラブにはマッチするのかもしれない。

アンチェロッティはいわば職人を大事にし、その力と技をうまく組み合わせてチームをつくる。機械を組み立てるのと似ている。「このほうがわかりやすいし、崩れないし、確実に勝てる」ということだろうか。そこが芸術家のようなグアルディオラとの大きな違いだ。

バルサ攻撃陣vsユベントス守備陣

もう一つの注目カードがユベントス(イタリア)―バルセロナ(スペイン)。バルセロナは決勝トーナメント1回戦の第1戦でパリ・サンジェルマン(フランス)に0-4で大敗したものの、監督のルイス・エンリケが今季限りの退任を発表した後の第2戦を6-1で制し、奇跡的に8強に進出した。

攻撃力だけを見れば、メッシ、ネイマール、スアレスが前線にそろうバルセロナが上であるのは間違いない。試合の焦点は、そのバルセロナの攻めをユベントスの老練な守備陣がいかに封じるかにある。

5バックでマンマークに近い形にして、しかも1人余らせるしかないのかもしれない。バルセロナは外に展開し、相手守備を横に広げたうえで中央でのダイレクトパスで崩しにくる。しかし、高さはないので、中央をがっちり固めてスペースを埋めることを徹底すればいい。

ユベントスはそういう戦い方に慣れているので、意思統一しやすいのではないか。ボヌッチ、キエリーニ、バルザーリらDF陣は押し込まれてもストレスを感じず、したたかに耐える。イグアイン、ディバラらによる速攻も鋭いので、ロースコアゲームに持ち込めばユベントスにもチャンスがある。

バルセロナはパリSG戦の6-1の劇的勝利ばかりがクローズアップされるが、0-4で敗れたもろさも抱えている。

シャビが去り、イニエスタの衰えが隠せず、ラキティッチも本調子ではないので、全盛期に比べるとボールの保持力、攻撃の構成力は落ちている。前線の3人次第であるのはレアルと同じだ。

岡崎慎司が所属する初出場のレスター(イングランド)はアトレチコ・マドリード(スペイン)と対戦する。監督が交代し、昨季の戦い方に戻したことで見事によみがえった。

ともに堅守速攻型だが、総合力では過去3年で2度、決勝に進んでいるアトレチコがはるかに上回る。レスターをなめない限り、4強入りは堅いだろう。

香川真司がいるドルトムント(ドイツ)は攻撃力のあるモナコ(フランス)と対戦する。今季のドルトムントは波が大きく、どんな試合をするのか読みにくい。

野心家の監督、トゥヘルがチームをいじりすぎて、核がなくなってしまった。焦点がぼやけてしまい、どれが本当の姿なのかはっきりしない。欧州CLはごまかしが効かない戦いなので、安定感のないいまのドルトムントでは苦しい。

今季V、バイエルンの可能性も

ここまで各チームの戦力を分析してきたが、では今季はどこが優勝するのだろう。何となくバイエルンがひょこひょこっと勝ち上がって優勝してしまうのではないかという気がする。

もちろん、事実上の決勝であるレアルとの準々決勝を勝ち抜けたらの話だ。4年ぶりの欧州制覇のためには、ここが最大の難関になる。=文中敬称略

(元J1仙台監督)

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