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ヤマトの運賃引き上げ、8割が「賛成」

第314回解説 大林広樹

今回の調査では、皆さんに身近な宅配便に関するテーマを改めてお尋ねしました。関心の高さを反映し、2500人を超える多くの電子版の読者にご参加いただきました。

ヤマト運輸が荷主に運賃の引き上げを要求していることに対しては、「賛成」と答えた読者が80%を超えました。荷物の急増と人手不足で重労働にあえぐ宅配現場の窮状を改善する一つの方法と捉える人が多いようです。

値上げ要求により、ネット通販などの配送料に転嫁される可能性もあります。配送料がもし値上げされ、仮に1万円の商品を買った際の上乗せ額の許容範囲をお尋ねしたところ、「100~200円台」との答えが最も多い37.1%を占めました。次に多かったのが「100円未満」で19%、その次が「300~400円台」で15.2%でした。一方で「全く許容できない」と答えた人も10.2%いました。

ネット通販の配送料は必ずしも商品価格だけで決まるものではありませんが、話を単純にするために1万円という設定で質問させていただきました。

節約志向が根強いなか、なるべく安くサービスを利用したいと考える読者が多いようです。

また、配達員の長時間の重労働の原因となっている再配達を減らすために、実際に実行できる対策が何かも複数回答でお聞きしました。

最も多い1372人が選んだのが「再配達を依頼した際は外出しないようにする」でした。ほかに多かったのは「コンビニでの受け取りを指定」「自宅の宅配ボックスの利用・設置」などです。

一方、官民を挙げて駅構内などに宅配ボックスを設置する動きが広がっていますが、「自宅外の宅配ボックスの利用」を選んだのは385人と少ない結果となりました。まだ設置件数が少なく浸透していないことや、駅から自宅まで持ち帰る手間を敬遠する人がいることが影響しているのかもしれません。

皆さんからいただいたコメントを個別に拝見すると、利用者として当事者意識を持ち、応分の負担や努力をいとわず問題解決に積極的に協力しようという立場の人が多いのが印象的でした。ただ、利便性との兼ね合いのなかでどこまでなら許容できるか、どんな手を打てばいいかといった部分で悩まれている側面も垣間見られました。

ヤマト運輸の荷主に対する値上げ要求に賛成する読者の多くからは、「現場に過剰な負担がかかっているなら仕方ない」(56歳女性)、「もっと早く値上げしてもよかった」(22歳男性)、「サービスレベルと料金が釣り合っていない。利用者が過剰なサービスを要求している」(65歳男性)といった意見が寄せられました。

賛成・反対双方の立場の人から「効率化、機械化で値上げ回避に先に取り組むべきだ」(35歳男性)、「コストを削減する努力は当然続けるべきだ」(68歳男性)などと一段の企業努力を求める声も出ています。

ヤマト運輸はネット通販大手のアマゾンジャパン(東京・目黒)など大口顧客と運賃の引き上げ交渉をしています。荷主への値上げ要求は、結果としてネット通販利用者の配送料の引き上げを招く可能性もあります。

回答者の内訳
回答総数2519
男性91%
女性9%
20代以下4%
30代9%
40代20%
50代26%
60代28%
70代11%
80代以上2%

「ネット通販の送料が安すぎるので値上げも検討すべきだ」(64歳男性)との声がある半面、消費者への一律の転嫁については否定的な読者も多いようです。

「即日配送などのサービスを求めない客については、値上げは保留してほしい」(33歳男性)、「(指定した時間に自宅にいるという)ルールを守っている人も含めた一律の値上げは許されない」(65歳男性)といった意見が代表的です。

「時間指定したのに不在で再配達になったときは料金を徴収する」(39歳女性)、「夜間配送には追加料金を払う価値がある場合もある」(41歳男性)など条件付きで有料化を容認する読者は少なくありませんでした。

「ネット通販の注文時に必ず配達時間を決めるシステムを導入してはどうか」(69歳男性)という趣旨のアイデアも複数寄せられました。

仮に配送料が上がった場合に許容できる範囲については、最も多かった「100~200円台」を選んだ63歳男性は「お店に行って購入するコストからすれば安いのでは」、3番目に多い「300~400円台」を選択した75歳男性は「今が安すぎる」と答えました。

ただ値上げを許容しながらも、費用負担はなるべく抑えたいと考える読者が多いのも実情です。「実店舗での購入と比較して安いほうを買う」(67歳男性)、「配送料が上がったらネット購入を考え直す」(60歳男性)、「値上げが無いオプションが必要」(39歳男性)といった意見が集まりました。

「全く許容できない」と答えた読者からは、「値上げしない他のネット通販業者を使う」(38歳男性)、「荷物を入れる箱を(中身のサイズに合わせて)小型化するする努力が必要。そうすれば料金が抑えられるのでは」(67歳男性)といった意見が出ました。「100円未満」を選んだ70歳男性も「複数の商品をもっと一箱にまとめたり、過剰包装を改めたりすべきだ」と指摘します。

ネット通販の価格設定の方法は業者によって異なりますが、一定金額以上の注文だと無料になったり、当日・翌日配送や日時指定の場合は追加料金がかかったり、年会費を払った会員は無料になったりと複数の要素が組み合わさって決まります。

「重いボトル水など配送に負担がかかる物は相応の負担を許容しやすい」(56歳女性)、「重いものや大きいものであれば700~800円台かそれ以上でもOK」(61歳男性)と条件次第では応分の負担をする覚悟を示した読者もいました。

再配達を減らすために自分ができることについても多様な意見が寄せられました。

最も多かった「再配達を依頼した際は外出しないようにする」ことについては、「時間指定したら在宅し、都合が悪くなれば速やかに連絡して調整するのは当たり前」(52歳男性)と利用者の自覚を求める読者が多数いました。

2番目に多かったコンビニエンスストアでの受け取り指定は「時間を気にせず取りに行けるのが魅力」(31歳男性)と活用する人がいる一方、「保管スペースが限界にきており、コンビニ店主が悲鳴をあげている」(44歳男性)、「コンビニの業務負担が大きくなりしわ寄せがいくのでは意味が無い」(54歳男性)といった懸念が寄せられました。

そこで「無人自動受取機ができるといい」(42歳男性)といったアイデアを挙げる読者もいました。

回答の選択肢には入れませんでしたが、営業所での受け取りに前向きなコメントも目立ちました。「不在時は荷物を営業所に持ち帰ってもらい、受取人が営業所に取りに行けばよい」(48歳男性)、「営業所止めの受付時間帯を延ばせば負担が軽減できるのでは」(45歳男性)といった意見がありました。

利用者だけでなく宅配業界やネット通販業界全体の努力を求める声も少なくありません。「事前の配達通知サービスが無い宅配会社では再配達が発生している」(69歳男性)、「ネットでの通知、追跡サービスを充実していただきたい」(79歳男性)などです。

宅配ボックスへの関心も高く、「社会インフラとして各社が共同で主要駅やマンションのほか、公共施設にも設置すべきだ」(59歳男性)、「賃貸物件にも設置してほしい」(46歳男性)との声が相次ぎました。

ただ「マンションの宅配ボックスは数に限りがあり飽和状態」(44歳男性)、「自宅用の宅配ボックスは高額すぎて無理」(48歳男性)との悲鳴も上がり、「戸建て住宅用宅配ボックスを安価に設置できる仕組みが欲しい」(60歳男性)と訴える声も目立ちました。

再配達を減らすアイデアへの言及も多く、「急ぐものと急がないもので値段を変える」(55歳男性)、「2回目以降の再配達では一定の加算料金を収受する仕組みを導入する」(52歳女性)、「再配達の回数が増えるたびに累進的に引き上げる」(60歳男性)などが挙がりました。

今後はヤマト運輸だけでなく、さまざまな動きが宅配便業界、ネット通販業界で起こりそうです。利用者は便利さと負担の兼ね合いに悩み、業者側も最適解をじっくりと探しているところでしょう。今後も継続的に宅配問題を報道し、考える材料を提供していきます。

今回の調査(18~21日)にご協力いただいた読者の皆さんによる安倍内閣の支持率は62.3%でした。前回調査50.7%よりも11.6ポイント上昇しました。

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