2019年2月19日(火)

[FT]大連万達、激しく攻め込みすぎたハリウッド

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2017/3/23 6:30
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Financial Times

キングコングが心優しい巨大なサルとして戻ってきた。古いハリウッド映画シリーズのリバイバル作品「キングコング 髑髏(どくろ)島の巨神」が3月10~12日に米国興行収入ランキングでトップに躍り出た(注:日本では25日封切り)。製作会社の米レジェンダリー・ピクチャーズと同社を所有する中国の不動産大手、大連万達集団(ワンダ・グループ)は、映画のヒットで安堵した。

万達には良いニュースが必要だった。「ゴールデン・グローブ賞」などの賞の運営・番組製作を手掛ける米テレビ番組製作会社ディック・クラーク・プロダクションを10億ドルで買収する計画が3月10日に頓挫したからだ。万達としては、ハリウッド映画に登場する典型的な登場人物――目を輝かせてハリウッド進出を試み、結局カネを巻き上げられる外国人投資家――にやはりなりたくない。

映画産業進出を夢見た安徽省の銅加工会社など、ハリウッドに投資するために最近列をなしている中国企業には、二重のリスクがある。米エンターテインメント業界で屈辱を味わう恐れ、さらに中国政府(の意向)と不和を生じさせて国内事業に害を及ぼしかねないというものだ。

このリスクは11日、はっきりした。鍾山商務相が、中国企業が昨年まとめた合計2200億ドルの海外M&A(合併・買収)の一部を「手当たり次第で不合理な投資」と評し、「我が国のイメージに悪影響を与えた」と言ったのだ。政治的なコネが不可欠な国において、あってはならない類いの評価だ。

■キングコング流の無遠慮さで買収

万達はまだ不興を買っていないが、レジェンダリーと米映画館チェーン、AMCエンターテインメント・ホールディングスのオーナー企業として、ハリウッドで最も有名な中国企業であり、それゆえ最も注目を浴びている。万達の創業者で大富豪の王健林氏はそろそろ、多少の忍耐力を発揮すべきだ。新たな買収を模索してロサンゼルスの6大映画スタジオの門を派手にたたき続けるのではなしに。

王氏はこれまで、エンターテインメント業界でもキングコング流の無遠慮さを発揮してきた。中国不動産業界で各地にショッピング・レジャー施設「万達広場」を相次ぎ建設した際と同じだ。米国のAMCと欧州のオデオン・アンド・UCIシネマズ(英国)、ノルディック・シネマ・グループ(スウェーデン)を傘下に収めて国際的な映画館チェーンを築き上げてきた。王氏は、米パラマウント・ピクチャーズといった映画スタジオを「喜んで買う」と公言している。

門をどんどんたたき続ければ、王氏はいずれ、思い通りにできるかもしれない。昨年9月に万達と提携したソニー・ピクチャーズエンタテインメントは困難な局面を迎えている。1989年に米コロンビア・ピクチャーズを買収し、アジア企業の先陣を切ってハリウッドに進出して以来、数度目となる難局だ。世界第2位の映画市場である中国で昨年成長が鈍ったことは、ほかの企業にも打撃を与えている。

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