2019年1月18日(金)

なぜ? 国民のスポーツ実施率低下の困った事態
編集委員 北川和徳

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2017/3/17 6:30
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この6年で散歩は1.6ポイント、ウオーキングは1.0ポイント、体操は1.6ポイント低下した。この3種目をのぞいた集計をすると、週1回以上のスポーツ実施率は12年の13.9%から16年は14.3%に微増している。

アイスホッケー女子日本代表と鈴木大地スポーツ庁長官(左端)。スポーツ実施率向上が最大の目標だ=共同

アイスホッケー女子日本代表と鈴木大地スポーツ庁長官(左端)。スポーツ実施率向上が最大の目標だ=共同

ジョギング・ランニングは100万人減

同財団スポーツ政策研究所の藤原直幸研究員はこう分析する。「健康志向の高まりを受けて、個人で気軽にできる種目がスポーツ実施率を引き上げてきた。それがストップして、飽きてやめる人たちが出てきている」。1人ですぐに始められるからこそ、やめるのも簡単。一方で、野球やサッカー、テニスなど仲間同士のコミュニティーが形成される競技系スポーツは、明確な理由がなければやめることはまずない。こちらは長年にわたって実施率はほとんど変わらないという。

それを裏付けるように、やはり1人で始められるジョギング・ランニングもウオーキングなどと同じ傾向で推移している。こちらは週1回以上の実施率では筋トレに続く5位が定位置。ピークは12年(5.5%)から14年(5.3%)だが、16年は4.5%に低下した。1年に1回以上のジョギング・ランニングを行う推計人口は1009万人から893万人まで100万人以上減った。

スポーツ実施率の向上を目指すには、なかなか厳しい事態ではないか。個人の意識の変革だけで取り組めるエクササイズ系スポーツが頭打ちになったとすると、週1回以上のスポーツ実施率を引き上げることは容易ではない。競技系スポーツを楽しむ人を増やすには、施設や組織など環境整備が不可欠となる。掛け声だけでは進まないし、お金も人手も時間もかかる。

会見する東京都の小池百合子知事。20年大会を経てスポーツ実施率はどう変化するか…=共同

会見する東京都の小池百合子知事。20年大会を経てスポーツ実施率はどう変化するか…=共同

運動と健康の関連の一層の研究を

スポーツ実施率の向上は、スポーツ庁にとって最大の目標になると思う。国民の医療費総額は40兆円を超え、日本の財政を厳しくする大きな要因となっている。スポーツの健康効果によってそれを数%でも抑制すれば、大幅な経費削減が実現できる。

だが、スポーツ庁の発足までは、健康は厚生労働省、スポーツは文部科学省という縦割り行政のもとで、健康増進とスポーツを結びつけた施策は打ち出されにくかった。そもそも運動が体に良いことは漠然と理解されているが、適切な強度、頻度と健康効果との因果関係を明確に示す研究データなどはまだ乏しいという。

第2期スポーツ基本計画は17年度からの5年間の指針となる。20年東京五輪・パラリンピックを経て、国民のスポーツ実施率はどう変化するのか。スポーツ庁では15年まで3年ごとだった調査を、これからは毎年実施する方針。その動向に注目していきたい。

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