2019年6月26日(水)

隗より始めよ(岩渕健輔)

フォローする

7人制ラグビー強化、東京五輪への長期ビジョン

(1/2ページ)
2017/3/16 6:30
保存
共有
印刷
その他

2015年ワールドカップ(W杯)でゼネラルマネジャーとしてラグビー日本代表の躍進を支えた岩渕健輔氏(41)が、ラグビー界の様々な事象やスポーツで勝つための方策について語る連載コラム「隗(かい)より始めよ」をスタートさせます。この格言通り、岩渕氏は小さな準備を徹底することで大勝負を制してきました。鋭い観察眼や分析力から生まれる考察をご期待ください。

日本の成長と課題をあらわにする2つの世界大会だった。ラグビー日本代表のゼネラルマネジャーとして戦った15年W杯、16年リオデジャネイロ五輪をこう総括している。

W杯の15人制ラグビー日本代表は、優勝候補の南アフリカに番狂わせを起こしながら、1次リーグで敗退した。リオデジャネイロ五輪の7人制日本代表も強豪のニュージーランドを破ったものの、最終順位はメダルに一歩届かぬ4位だった。

リオ五輪ラグビー7人制の3位決定戦の南ア戦で突進する福岡堅樹(右)

リオ五輪ラグビー7人制の3位決定戦の南ア戦で突進する福岡堅樹(右)

2つのチームが挙げた金星は、一戦必勝の構えが成功すれば強豪に勝てるようになったことを証明している。時間帯や陣地によるプレー選択、ラインアウトの選手の並び方、使うサインプレーの順番……。五輪のニュージーランド戦は戦い方を細部まで事前に決めておき、全てがうまくはまった。

想定外の事態にどう対処するか

逆に、準決勝や3位決定戦では、用意していた戦術が実行できず敗れた。準備期間が短い中での対応力がなく、想定外の事態が起きたときに力を出しきれないのが、今の日本の弱点といえる。

この5年間、私はゼネラルマネジャーとして、15人制の男女、7人制の男女など各日本代表の強化全体を考える立場だった。1月からはラグビー7人制日本代表の総監督に立場を変え、男女の7人制の強化に専念している。

15人制のW杯と、7人制のリオ五輪。どちらも似たような結果だったが、世間の耳目を集めたのは、圧倒的にW杯の方だった。むしろ順位だけなら、1次リーグで敗退したW杯より、五輪の方が上だったのだが。

W杯と五輪。それぞれの次回大会に日本は開催国として臨む。19年W杯日本大会は単一競技のイベントということもあり、日本代表はそれなりに注目してもらえるだろう。しかし、各競技の躍進が予想される20年東京五輪では、ラグビーはメダルを取らないと存在感を発揮できない。

7人制は15人制と比べ、日本でまだ文化として根付いていないというハンディもある。自分の次の仕事として、東京五輪でのメダル獲得に全力を注いだ方がいいという気持ちが強くなった。

男女の7人制代表の再強化は、東京五輪までの長期的なビジョンに基づいて行っている。目先の結果だけを追うのではなく、すぐには身につかない地力をじっくりと培う。

男子がまず磨くべきは、準備していた戦いがはまらなかったときの適応力や修正力だ。新ヘッドコーチ(HC)にリオ五輪でニュージーランド代表コーチを務めたダミアン・カラウナ氏を招き、この認識のもとに具体的な取り組みを始めた。

岩渕健輔氏

岩渕健輔氏

カラウナHCが試合で起用する選手を選考する際は、リーダー陣の選手の意見を聞いてから決める。対戦相手の映像の分析も一部は選手が行う。7人制は1日のうちに2~3試合を戦うが、試合の合間に選手だけでミーティングを開き、「次はここを変えよう」などと話し合う。試合中の判断も選手に委ねる場面を増やす。守備のときには、速く前に出るという一つの形だけでなく、選択肢を増やしてその判断を選手がしている。

女子7人制はリオ五輪で男子と対照的に、1次リーグ3連敗だった。こちらも選手に考えさせる指導をしている。けが人が映像の分析をしたり、普通は選手にやらせないようなスタッフの役割も任せたりしている。

女子の場合、鍛えるべき地力はほかにもある。個々の身体能力や基礎技術だ。リオ五輪までは国内の選手数が今より少なく、他競技からの転向組も多かったため、試合に必要な体力をつけ、ラグビーに慣れるだけで精いっぱいの部分があった。

  • 1
  • 2
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

ラグビーコラム

電子版トップスポーツトップ

隗より始めよ(岩渕健輔) 一覧

フォローする
イングランド戦の前半、タックルを振り切りトライを決める中村(手前中央)=共同共同

 いよいよラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の年を迎えた。初の開催国として臨む日本代表は、着実に力をつけている。4年前と比べ、環境面でも恵まれている。あとは本番に向かうための最後の準備を確実にして …続き (1/7)

スピードスケートが素晴らしいのは自分たちの強化方針を4年間やり通したことだ

 ラグビー7人制日本代表のスタッフとともに平昌五輪を視察した。2020年東京五輪の準備を進めるにあたり、五輪がどのような大会であるかをスタッフに認識してもらいたかったからだ。
 五輪の特徴として、ある種 …続き (2018/3/14)

フランス戦でタックルするリーチ(中)。主将復帰はチームにとって大きな意味があった=共同共同

 ラグビー日本代表が11月に戦ったテストマッチ3試合には、前向きな点が多く見られた。トンガに大勝し、過去全敗のフランスに初めて引き分けたという結果だけではない。2019年ワールドカップ(W杯)日本大会 …続き (2017/12/14)

ハイライト・スポーツ

[PR]