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球筋決めパーオン率高める「久富式広角打法」(下)

 特集テーマである「パーオン率を高める」を久富章嗣さんに話したところ、「広角打法」を提案してくれた。持ち球でもいいので、フックかスライスかの球筋を決め、グリーン全体を目標にして打てば、どこかにはオンできるという画期的なもの。当然、パーオン率はアップできるわけだが、本当に実現可能なのか。久富さんの生徒である田中彰さんと一緒にチャレンジしてみた。今回は誌上レッスンの最終回。
(日本経済新聞出版社「書斎のゴルフ VOL.33」から)

――スイングの話に熱中してしまいました。次に広角について話題にしたいと思います。田中さんは広角という考え方はどうでしたか。

グリーンの幅を広く考えることで気分が楽になる

田中 うまくやれたかどうかはわかりませんが、グリーンの幅を広く考えるというのは気分が楽になりましたね。編集長が言っていたように、グリーンに近づくにしたがって、ターゲットをどんどん狭めていくのが普通ですよね。自分の技量を考えずにレベルの高いことにチャレンジしがちです。でも、今回はグリーンに近づくに従って、ターゲットがどんどん広がる。面白いと思いました。

久富 ピンを狙うのではなく、グリーン全体が目標になれば、まったく気持ちが変わりますよね。そこが大事なポイントなんです。

田中 パーオン狙いの場面ではなく、グリーン周りからのアプローチのときなど、どこにでも乗ればいいと思うと本当に楽な気持ちになりました。そうなるとピッチショットなんかやりませんよね。ランニングでころころと転がして乗ればいいと思えましたから。

久富 楽な気持ちになれたから、アプローチで8番アイアンを持てるようになったのです。考え方が変わったわけです。寄せなくてはいけないという欲と、寄らないのではないかという不安から脱却できたわけです。

田中 何番ホールだったかな。アプローチでピン方向へのライン上にバンカーがかかってしまうことがありました。いつもだと、サンドウエッジかアプローチウエッジを使うところですが、グリーンを広く見ると楽にオンできるラインがいくらでもあることを発見して、8番アイアンでランニングをすることにしたのです。それがうまくいって、ああこういうことかと少し理解できた気がします。それで他のホールでも8番アイアンを選ぶことができました。

――ランニングはかなり調子がよかったですよね。寄せワンも何回かありましたよ。

田中 それもあって、広角という考え方は、ドライバーのような大きなクラブよりも、アプローチからのほうがより理解しやすいと思いました。広角の意味するところを知って、それで少しずつ距離を伸ばしていくほうがわかりやすいと感じました。私のように8番アイアンのランニングから、ショートアイアンのスリークオーターの距離というように。

久富 それはいい理解です。今度は田中さんが練習場で自分流の広角打法をつくっていくことが大切です。

田中 きょうのラウンドでそういうきっかけを得たかなと思っています。

――ドライバーでもこの広角の考え方、打ち方は応用できますよね。

久富 もちろんです。私は最初からそのつもりで話していますよ。

――そうするとスコアアップできると。

久富 いきなりは難しいでしょうね。

――それはどうしてでしょう。

久富 はっきりいって、パーオン率とスコアは直接結びつかないのです。特に一般ゴルファーは。

――どうしてでしょう。

久富 一般ゴルファーはパーオンしたらパーが当然、あるいはパーでなければ失敗したと考えます。

――その通りです。

久富 ですが、きょうの広角打法がそうですが、ピンから離れたオンも大いにあり得るわけです。その場合、3パットの回数が増えます。

――なるほど。きょうのラウンドがそうでした。4パットもありました。

久富 ですから、そういう場合に3パットしても平然としていられるかが重要です。失敗したという思いが残るとプレーに悪影響が出てしまいます。それが何度も続くとスコアをつくれなくなってしまうのです。

――思い当たることがあります。

久富さんは攻めるホールと守るホールをはっきりさせようとアドバイスする

久富 私は「ボギーで逃げろ!」と言うのですが、10メートルのパットを2パットでというのはそうそうあるものではないのです。ボギーを嫌がっていてはスコアをつくれません。グリーンオンを狙うショットについても同様です。今回紹介した打ち方、考え方でパーオンの回数は増えるでしょう。しかし、狙った結果、乗らなかったという場合に、失敗だと判断してしまってはアプローチに影響が出てしまいます。ですから、そういううまくいかなかったときのことを受け入れられるようになるまではスコアはよくはならないでしょう。

――どうすればいいかわからなくなってきました。

久富 一般ゴルファーはすべてのホールで2オンを狙っています。そして失敗の回数を増やしています。ですから、まずは攻めるホールと守るホールをはっきりとさせることです。ティーグラウンドで決めてもいいし、ティーショットの結果によって決めてもいいでしょう。そして、チャレンジした場合は、失敗することも想定しておくことです。

田中 私の飛距離ではパーオンできるホールは限られていると思います。ですが、たまたまティーショットがよくて、残りが150ヤードという場合は狙ってもいいのでしょうか。

久富 もちろんです。先ほどからネガティブなことを言っているととられているかもしれませんが、そうではありません。パーオンをするというのはパープレー、つまり72ビジョンへの挑戦なのです。今回は1回だったから次回は2回、その次は3回とトライするのは大いに結構です。きょうのようなスコアを度外視して、ひたすらパーオンを狙うというラウンドをするのもいいかもしれません。

――パーオンは72ビジョンなのですね。

久富 とはいえ、矛盾するかもしれませんが、私は同じ72でも、ハーフのスコア36でパット数が9というのが理想だと考えています。すべて寄せワンということです。こういうパープレーもあるということを知っていてほしいと思います。

田中さんは年末に出す年賀状には「フックが打てた!」と書けるようにしたいという

――最後に田中さんへのアドバイスをお願いします。

久富 そうですね。まずフック打ちをより確実にするためと、150ヤードを確実に打てるクラブがほしいので、3番アイアン、3番ウッドをハイティーアップで打つ練習をお勧めします。

田中 持っていないのですよ。

久富 中古ショップに行けば安く手に入りますよ。それで練習しましょう。はじめは「ペションショット」といってフェースに当たらない、つかまらないという不快なショットになります。ですが、それに耐えて、思い切りつかまるようになると、他のクラブがちゃんと打てるようになるし、距離も出るようになります。3番ウッドはゆっくり振ることから始めます。力が入ると、ハイティアップだとボールの下をヘッドが通ってしまいます。田中さんだけではなく、皆さんにお勧めしたい練習です。

田中 やってみようかな。昨年、久富さんにお出しした年賀状に「フックを打つ」と書いて、それが実現できなかったので、年末に出す年賀状には「フックが打てた!」と書けるようにしようと思います。

久富 皆さんには、左足一本のスイングをお勧めしておきます。ラウンドの始めのほうでは、フィニッシュが見違えるくらいに決まっていたのに、後半は疲れが出たのか、狙う意識が強く出てしまったのか、乱れていました。これは読者の皆さんにもぜひやっていただきたい練習です。左腰が引けてしまったり、スイングで体が開きすぎてしまったりということをなくすためです。

――ありがとうございます。私も年賀状には「わかった」、そして「できた」と書けるようにしたいと思います。

(文:山田誠 撮影コース:浅見カントリー倶楽部)

 久富章嗣(ひさとみ・あきつぐ) 1951年生まれ。日本大学ゴルフ部では主将を務め、アマチュアとして全英オープンの予選出場の経験を持つ。独自のゴルフ理論を展開し、これまでに多くのアマチュアをシングル入りさせている。全国に厚い信奉者がいるアマチュア向けレッスンの実力者。
 田中彰(たなか・あきら) 1964年7月28日、東京都生まれ。165センチ、55キロ。ゴルフは25歳で始め、ベストスコアは83。ラウンドは月3回ペース。好きなクラブはパターとショートアイアン。ドライバーの平均飛距離は190ヤードで、持ち球をスライスからフックに変えたいと練習中。岡部チサンCCのHC22。

書斎のゴルフ VOL.33 読めば読むほど上手くなる教養ゴルフ誌


出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,404円 (税込み)

あなたのゴルフが100を切れない理由 (日経ビジネス人文庫)

著者 : 久富 章嗣
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 810円 (税込み)

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