レーシングワールド

フォローする

武豊の次は…スター誕生阻む過酷な騎手事情

(1/3ページ)
2017/3/11 6:30
保存
共有
印刷
その他

中央競馬の今年の新人騎手5人が3月4日、一斉にデビューした。今回の5人中、美浦所属の3人はいずれも現役か元の騎手の息子だ。木幡育也(18)は、父の初広(51)が現役最古参。兄の初也(21)、巧也(20)ともども、親子4人が騎手という中央史上初のケースとなった。横山武史(18)は、父典弘(49)が通算2648勝、G1も25勝のスター騎手で、兄の和生(23)も現役。典弘の父富雄(故人)も騎手だったから、親子3代の騎手である。武藤雅(19)も、父善則(49=現調教師)が2001年まで騎手だった。(敬称略、成績は2月末現在)

競馬学校出身の
年間100勝達成者
氏 名回数
1柴田善臣8
2横山典弘11
※松永幹夫1
3武  豊21
蛯名正義10
5田中勝春1
7※藤田伸二7
四位洋文1
8※後藤浩輝5
12福永祐一8
15北村宏司2
19松岡正海1
20川田将雅4
23浜中 俊3
他の年間100勝達成者
氏 名回数
※安藤勝己(笠松)6
岩田康誠(兵庫)9
内田博幸(大井)5
戸崎圭太(大井)4
Cルメール(フランス)2
Mデムーロ(イタリア)2

(注)※は現役引退

社会全体で馬との接点が少ない日本では、競馬界と外界のなじみは薄い。騎手は専門職中の専門職だから、騎手や調教師、厩務員といった業界関係者の子弟が占める比重が高くなる。3月でデビュー30周年を迎えた武豊(47)も、父は「名人」と呼ばれた武邦彦(故人、後に調教師に転向)だった。30年と言えば1世代。次のスターが期待される時期だが、1世代の間に競馬界、特に騎手界の様相は激変し、息子たちは父の代には考えられなかった過酷な環境の中で、プロとしての第一歩を踏み出す。

競馬学校騎手課程の黄金期

1987年の武豊の出現はセンセーショナルだった。初年度にいきなり69勝(うち重賞3勝)で新人最多勝記録を達成。翌年には、早くも113勝と100勝の大台を突破し、かつ同年の菊花賞をスーパークリークで優勝。10代でクラシック優勝騎手の偉業を達成した。

武豊の出現は、日本中央競馬会(JRA)の騎手育成の転換点と重なる。82年に競馬学校(千葉県白井市)を開校。馬事公苑(東京・世田谷)から移管したのに併せて、騎手課程の練習量を大幅に増やした。85年デビューの1期生から柴田善臣(50)が現れ、2期生から横山典と松永幹夫(49、現調教師)、3期生から武豊と蛯名正義(47)……。後の一流騎手を輩出した。

当時は23歳未満の騎手は「見習騎手」で、通算勝利数に応じて、一般競走では1~3キロの減量特典(通常より軽い負担重量で騎乗できる)が与えられた。通算41勝で減量は「卒業」が原則だが、武豊のように初年度途中で突破しても、規定の年齢までは特典があった。結局、92年から通算31~100勝を1キロ減とする代わりに、100勝を超えれば年齢不問で減量特典が消える設定となった。若手の台頭がルールを変えた形だ。

「100勝クラブ」の壁は高く…

騎手界で「一流」の基準をどこに置くかは難しい問題だが、「年間100勝達成者」は少なくとも目安としては有効だろう。中央競馬で年間100勝を達成した騎手は30人(延べ150回)しかいない。武豊がデビューした87年以降に限ると、25人が134回記録している。25人の来歴を分類してみると、JRAの騎手育成が近年、いかに悩ましい状況かが見えてくるだろう。

  • 1
  • 2
  • 3
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

競馬のコラム

関連キーワード

電子版トップスポーツトップ

レーシングワールド 一覧

フォローする
今年は京都で行われたエリザベス女王杯。来年は阪神に移る=共同共同

 一度発表された競走日程が、7週間で変更されたのは前代未聞だろう。日本中央競馬会(JRA)は9日、大阪市内で開いた定例記者会見で、2020年の開催日程(日割と呼ばれる)のうち、夏季の北海道開催の入れ替 …続き (12/14)

1985年開設の坂路が「西高東低」の原動力となった(滋賀県栗東市)

 この11月、日本中央競馬会(JRA)の西日本の調教拠点、栗東トレーニング・センター(トレセン、滋賀県栗東市)の開業からちょうど半世紀を迎えた。50年の間には坂路などの優れた調教コースが設けられ、関西 …続き (11/30)

オーストラリア競馬のコーフィールドカップを制したダミアン・レーン騎乗のメールドグラース=共同共同

 レース創設39回目にして、とうとう外国馬が姿を消した。11月24日に行われる国際競走、ジャパンカップ(JC=G1・東京芝2400メートル)である。近年、様々な事情から海外からの遠征馬が減るだけでなく …続き (11/16)

ハイライト・スポーツ

[PR]