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米ウーバーが四面楚歌 不祥事相次ぎ窮地に

ライドシェア(相乗り)大手の米ウーバーテクノロジーズが窮地に立たされている。女性社員に対するセクハラや最高経営責任者(CEO)の暴言、規制をかいくぐる脱法ソフトの存在などが次々と表面化。批判の声が不買運動にまで発展しているためだ。開発に力を入れる自動運転技術を巡っても米グーグル系企業との裁判を抱えており、逆風は当面収まりそうもない。

窮地に立つウーバーのカラニックCEO

「ファウジ、運転手と利用者のみなさん、そしてウーバーの社員に心から謝罪したい」。トラビス・カラニックCEOは2月28日夜、同社のブログに「心からの謝罪」と題した短文を掲載した。発端は米ブルームバーグ通信が同日配信した1本のビデオ。カラニック氏が乗車したウーバーの運転手、ファウジ・カメル氏と料金を巡って口論になり、相手に暴言を吐く様子が車載カメラに克明に記録されていた。

勝ち気な性格で知られるカラニック氏も、さすがにまずいと思ったのだろう。自らのサービスを支える運転手を「不当に扱った」ことを認め、「リーダーとして根本的に変わり、成長しなければならない」と反省の弁を述べた。

カラニック氏がすぐに火消しに動いたのは、その時点ですでに複数のトラブルが明るみに出ていたためだ。

2月19日、ウーバーで昨年12月まで働いていたスーザン・ファウラー氏が在職中に上司から受けたセクハラ被害を自らのブログで公表。人事部に何度相談しても、まともに取り合ってもらえなかったという長文の訴えはソーシャルメディアで瞬く間に広がり、ファウラー氏に同情する人々がウーバーのアプリをスマートフォン(スマホ)から削除する不買運動に発展した。

現役の女性社員からも突き上げを受けるなか、カラニック氏はオバマ政権で司法長官を務めたエリック・ホルダー氏をトップに起用した調査チームを発足。「組織的」とされる性差別の実態解明と改善を約束したが、その後も別の元女性社員が新たな被害を公表するなど火ダネは消えていない。

ライバルとの摩擦も拡大している。2月23日には米グーグルの自動運転車開発プロジェクトが独立したウェイモ(カリフォルニア州)が、自動運転技術の企業秘密を盗んだとして、ウーバーとその子会社のオットーをサンフランシスコ連邦地裁に提訴した。

ウェイモによると、グーグルの自動運転車開発プロジェクトの元メンバーで、ウーバーが昨年買収したオットーの共同創業者の1人、アンソニー・レバンドウスキー氏がグーグルを退社する前に、中核部品の設計図を含む1万4000件以上のファイルを無断で持ち出したという。

ウーバーは「ウェイモの主張には根拠がなく、競争相手(の開発)を遅らせようとする試みだ」と反論。損害賠償と機密情報の使用禁止を求めるウェイモと、法廷で全面的に争う姿勢を示している。

3月3日には、ウーバーが数年前から世界各地で「グレイボール」と呼ばれるソフトを使い、敵対する規制当局や警察、競合他社の人間の乗車を巧妙に拒否して、摘発を回避していた実態が、米紙ニューヨーク・タイムズの報道で明らかになった。

 ウーバーは同ソフトは違法ではないと主張しているが、オレゴン州やマサチューセッツ州などの当局者は同ソフトの利用実態の解明に乗り出すなど、波紋が広がっている。

企業文化に投資家も懸念強く

ウーバーには、これまでもトラブルはつきものだった。各地の法律のグレーゾーンを突き、時には明確に違法とされていても、かまわずに既成事実を積み上げ事業を拡大してきた好戦的な企業文化は「Destructive(破壊的)」と形容されることが少なくなかった。

だが、度重なる不祥事に、成長を支えてきた投資家も懸念を強めている。初期の投資家の1人、フリーダ・ケイパー氏は経営陣に宛てた公開書簡の中で「ウーバーはこれまで何回も同じことを繰り返してきた。悪行が明るみに出ると、全社集会を開いて変化を約束するが、すぐにいつもの強引なやり方に戻ってしまう」と苦言を呈した。

一部には経営陣の刷新を求める声もあるが、抜本的な経営改革には議決権の壁が立ちはだかる。関係者によると、トラビス・カラニックCEOは共同創業者で非常勤会長のギャレット・キャンプ氏、前CEOで現在も同社の幹部を務めるライアン・グレイブズ氏と合わせて議決権の過半数を握っているためだ。

カラニック氏は7日、ワンマンに近かった経営体制を見直し、最高執行責任者(COO)を探す方針を明らかにしたが、選んだ相手が「イエスマン」では何も変わらない。「やんちゃ」では片付けられないほど規模も影響力も大きくなったカラニック氏、そしてウーバーの成熟度が問われることになりそうだ。

(シリコンバレー=小川義也)

[日経産業新聞 3月9日付]

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