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怪物2世・川岸史果、収穫の女子ゴルフ開幕戦

編集委員 吉良幸雄

国内女子ツアー今季開幕戦の第30回ダイキンオーキッド(2~5日、沖縄・琉球GC)は「怪物2世」川岸史果(22)の大健闘が話題を呼んだ。父の川岸良兼はツアー通算6勝。破格の飛距離で石川・小松明峰高、日大時代は「怪童」「怪物」と称され日本アマなど数々のタイトルを獲得した。プロ2年目の1990年にはABCラークカップなど年間3勝を挙げ賞金ランク3位に。姉の紘子がゴルフを始めたのにつられクラブを握った史果も、父譲りのロングヒッターだ。小学5、6年ごろで、240~250ヤード飛ばしていたという。ツアー初出場した2009年のNEC軽井沢72では、大会史上最年少の14歳10カ月で予選突破、16位に入っている。

川岸史果の武器は父譲りの飛距離だ=共同

川岸は2日目に65のビッグスコアをたたきだし首位に並ぶと、最終日は後続に2打差をつけスタート。しかし76とスコアを落とし、アン・ソンジュ(韓国)に1打差で逆転負け。杉原輝雄、敏一(91年関西オープン優勝)以来の「父子V」はならなかった。プロ転向8戦目での優勝となれば日本人選手では宮里藍、佐伯三貴の4試合に次ぐ最短Vだった。4日間を通じたパーオン率(73.61%)は、大山志保と並びランク1位。ところが最終日はグリーンを7回外し、5ボギー(1バーディー)をたたいたのが響いた。「風が舞っていて後半はドライバーショットが乱れ、風の読みやラフからのショットがうまくいかなかった」と振り返る。

「飛距離とセカンドが自信に」

日大高のオーストラリア修学旅行中、シドニーで転倒し骨折した古傷の右足首を昨年12月に内視鏡手術。まだラウンドを重ねると痛みが出るそうで「7番ホールくらいから痛みがあった。10、11番では体が止まってフィニッシュまで行かず左に。ちょっと(足の)影響はあった」。手負いの身にもかかわらず平均飛距離は248ヤードで4位。パーセーブに失敗したアプローチを課題に挙げ、惜敗を悔しがりながら「飛距離とセカンドが自信になった」と収穫を語る。

「怪物2世」には苦闘の日々があった。15年にツアー出場権をかけた予選会、クオリファイングトーナメント(QT)の3次QTまで進み、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)に単年登録。プロ転向しているが、プロテストでは昨夏、足の痛み止めの注射を打ちながら4度目の挑戦でようやく合格(7位)を果たした。今大会でキャディーを務めた日本女子アマ覇者の母、喜多麻子プロは「3回目くらいには、ドライバーイップスみたいになっていた。ティーグラウンドに立っても『怖い』と」。同じ井上透コーチに見てもらっている佐藤信人は「一緒にラウンドしていて、ショットが曲がり出すと修正がきかなくなることがあった」と話す。ただ待望のテスト合格が最良の精神安定剤になったのだろう。「合格が自信になり(ゴルフに)積極的に。気持ちの切り替えやセルフコントロールも成長した」と母。12月初旬のツアー最終予選会は26位でクリア、今季のツアー出場権をつかんだ。

史果いわく「父はすごいマイナス思考でネガティブなことばかり言っている。だから父のようにはならないように。気持ちの切り替えを大事にしている。ボギーやダボがあっても残りホールがあると。私も子どもの頃はマイナス思考だったけど、プラス思考の母に指摘されて中学の頃に変わった」。決勝ラウンド2日間を同組で回ったアン・ソンジュは「若いのにボギーを打っても落ち込まない。ショットが素晴らしい。試合に出るほどうまくなるのでは? ドライバーは風に負けないし、すごくうらやましかった。攻撃的で、私もそういう時があったなあと思った」とベタぼめした。

初シード獲得を狙う大城には幸先のいいスタートとなった=共同

川岸良兼は昨年12月に50歳になり、今季は新人としていよいよシニアツアーにデビューする。麻子夫人によると「俺はおまえより稼ぐからね」と娘に宣言。飯合肇や東聡らジャンボ軍団の仲間とタイ合宿中で、電話では「1打どうにかならなかったのか」と残念がっていたという。「父は1勝したくらいではプロとして認めないのでは」と話す史果のツアー初Vと良兼のシニア初Vのどちらが先になるか。父子の"先陣"争いも興味深い。

大城3位タイ、地元で好スタート

指笛が盛んに飛ぶ地元ファンの熱い声援を背に、沖縄勢も奮戦した。沖縄尚学高出身で、主催者推薦出場の大城さつき(27)は予選2日間トップで「優勝するしかない」。プロ9年目での初優勝を狙ったが、3位タイにとどまった。それでも中学3年から通算11度目の出場となったダイキン女子で780万円を獲得。最終予選会は52位で「15試合くらい出られたらいいかな」と話していたが、限られた試合数で初シード獲得という目標に向け、幸先のいいスタートとなった。本部高出身の比嘉真美子(23)は初日24位発進から7位に食い込んだ。昨季は終盤戦で踏ん張り、ランク34位で賞金シード復帰。シード落ちの原因となったドライバーショットが復調し、今大会では平均飛距離が2位(255.88ヤード)とかなり振れていた。「ティーショットからパットまでリズムが悪かった。リズムを一定にし続けることで上位へ行ける。ショートゲームが大事」。反省の言葉が口をついたものの、2勝をマークした13年以来、4年ぶりの3勝目も近いのでは、と思わせた。

昨秋の日本女子オープンでアマチュアとして史上初の国内メジャー制覇を達成した畑岡奈紗(18)も開幕戦に登場した。今季は米ツアーが主戦場で既に3戦している。大会3日前の2月27日にタイから帰国したばかりで疲労が残っていただけに、18位の結果はまずまずか。パットに苦しみ「最後まで高麗グリーンを攻略できなかった」。バハマ、オーストラリア、タイで行われた米ツアーでは予選落ち、30位、56位。「アマは4月がシーズンインだけど、1月下旬に始まった。調整がちょっとうまくいかなかった」。慣れない環境、初めてのコースに、長い移動。「前の試合を反省する間もなく、次の試合に。頭の中を整理していきたい」と話し、ファウンダーズカップ(16~19日、米アリゾナ州)から巻き返しを図る。

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