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新星OPPO、1年天下のジンクス覆せるか

2016年、激戦の中国のスマートフォン(スマホ)市場を制したのは、地元新興メーカーのOPPO(オッポ、広東欧珀移動通信)だった。およそ1年ごとに、販売首位が入れ替わってきた世界でも珍しい中国のスマホ市場。その市場で16年、またしても既存大手のメーカーは首位を守り切れなかった。果たして17年、新星オッポは「1年天下」のジンクスを覆すことができるのか。

中国・新興メーカーOPPOはジンクスを覆すことができるか(広東省広州市、スマホ販売店で)

韓国サムスン電子、小米、米アップル、華為技術(ファーウェイ)――。13年以降(四半期ベースを含む)、世界最大のスマホ市場の中国ではこの順番で販売首位が激しく入れ替わってきた。

いずれもおよそ1年限りしか首位の座を守ることができず、守れないどころか、その後は年を追うごとに順位を落としていくのも、中国市場の恐ろしさといえた。長年、首位はサムスン、2位はアップルと順位が定位置化した世界市場とは対照的な市場だ。

例えば小米だ。14年、中国で首位に立った小米は1年近く首位をキープしたものの、ズルズルと順位を落とし、ついに16年の中国販売は5位にまで落ち込んだ。16年は前年実績比36%減という急落ぶり。スマホ販売店が集まる電気街でも今や、小米の販売店は隅に追いやられ、もはや立ち直ることは容易でない。

アップルも例外ではない。中国最大手の通信キャリアの中国移動(チャイナ・モバイル)が14年から「iPhone(アイフォーン)」を発売することでアップル側と合意すると、たちまち中国にアップル旋風が巻き起こった。15年初頭には小米をかわして首位に立ち、臓器を売って得たお金で「iPhone」を購入する若者も出て社会問題にまで発展した。

しかし、そんなアップルさえも次第に人気が下火となり、ファーウェイ人気に取って代わられ、アップルは16年、販売4位にまで落ち込んだ。13年に首位だったサムスンも16年は6位にまで落ち、大苦戦が続く。

そんな市場で新興メーカーのOPPOが16年、なぜ販売を急増させ首位に立てたのか。答えは急落した小米にある。OPPOは小米とは全く異なる戦略を取ったことでシェアを急上昇させた。

まず販売面では、小米はネットを中心に販売する戦略を取ったが、OPPOはコストがかかっても、店頭での販売を重視した。中国では珍しい丁寧な接客にこだわり、ブランド価値を高められると考えたからだ。

価格設定でもOPPOは、小米と違いを出した。小米は販売量を増やし、シェアを追い求めて1万円程度の低価格ブランド「紅米」を積極展開したが、OPPOは4~5万円の中高級価格帯を中心に商品展開を行った。 販売強化地域でも差を付けた。小米は都市に重きを置いたが、OPPOは都市だけでなく、徹底的に地方都市も攻め、需要を掘り起こした。

生産戦略も真逆だ。小米は工場を持たないファブレスだが、OPPOは自社生産を基本とした。自社工場は一見、割高に見えるが、生産ノウハウは自社に蓄積される。サプライヤーとの連携が取りやすく、生産調整もしやすいなど、メリットが実は多いと知った上での戦略を取り、ここまでの成功につながっている。

 ただ、こうした戦略の優位性がいつまで続くは読みづらい。OPPOの成功を見て、同様のビジネスモデルで、その座を狙う新興勢の台頭も今後予想され、世界最大市場を巡る争いは17年、一段と激しさを増すことになりそうだ。

「本当の勝負 これから」

「弊社の経営陣は今、まさに薄氷を踏む思いで経営を続けています。世界からも急に注目されるようになりましたが、社内には全く浮ついた雰囲気はありません」。

OPPOの年間販売首位がほぼ固まった昨年末、飛ぶ鳥を落とす勢いをみせていた同社の肉声を聞こうと中国南部、広東省深圳市の本部を訪れた。経営トップに通じるある関係者は、こんな表現で社内事情を紹介してくれた。

この関係者は「平均年齢は30歳前後で、まだ若い会社。だからこれからが本当の勝負。この勢いを続けるのは、そう簡単な話ではありません」と説明した。スマートフォン(スマホ)の市場シェア首位の「1年天下」が続く中国で、その厳しい競争環境を心得た上での慎重な発言だ。

今や中国の街を歩いていて、OPPOの看板を見ない日はない。だが、果たして、この勢いはどこまで続くのか。その行方を一番楽しみにしているのは、流行に敏感だが、飽きるのも早い中国の若者、ユーザー自身なのかもしれない。

(北京=中村裕)

[日経産業新聞 3月8日付]

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