2018年9月23日(日)

10兆円ファンド 孫氏が発明したいもの 知られざるソフトバンク(1)

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2017/3/13 6:30
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 ソフトバンクグループは近く、サウジアラビアなどと共同でつくる10兆円規模の投資ファンドを発足させる。社長、孫正義は投資家か、事業家か。トランプ大統領との会談や3兆円超を投じたアームの買収、米携帯スプリント問題など、知られざるエピソードをもとに、5回連載でソフトバンクの次を読み解く。

■首相随行をドタキャン

 ファンド設立にかける孫の執念は、その足取りをたどると浮き彫りになってくる。

 昨年9月3日、東京・赤坂の迎賓館。孫はサウジの副皇太子、ムハンマド・ビン・サルマンと会談した。2人が話しあったのが、孫が提案した10兆円ファンドの構想だった。ムハンマドは初来日に合わせて数々の財界人と面会したが、孫とは特段に意気投合したようで、同行したサウジ国営通信に2人が談笑する写真を配信させている。

 実はこの日、本来なら孫はロシアのウラジオストクにいるはずだった。日ロ首脳会談に臨む首相の安倍晋三に随行し、ロシア電力大手トップと会う予定だったが、直前になってキャンセルした。首相に同行する財界人がドタキャンするのは異例中の異例だ。孫はそこまでしてムハンマドとの会談を選んだのだ。

 そして1カ月余り後の10月13日、孫はサウジの首都リヤドに飛んだ。ファンド設立の合意書にサインするためだ。孫は閣僚たちとの握手を済ませると足早に空港に向かい、プライベートジェットに乗り込んだ。向かう先の東京で待っていたのは、米アップル最高経営責任者(CEO)のティム・クックだった。

 CEOとして初来日したクックは文字通り分刻みのスケジュールをこなしていたが、孫は直前になってクックに頼み込んで会食の時間をずらしてもらっていた。

 今回はドタキャンは避けたもののアップル側は突然の予定変更に慌てた。だが、食事を取りながらの会話は孫のファンド構想で盛り上がり、クックはファンドへの参加を快諾した。

 日米政財界の大物を翻弄してまで設立を急いだ10兆円ファンド。孫はなんのためにそんなものをつくったのだろうか。常々「私は事業家」と主張する孫がなぜ「投資」なのだろうか。

■ポートフォリオも作らない

 その謎を解くカギが孫が言う「群戦略」だ。孫流投資の真意が一般に理解されず「ソフトバンクは投資会社だ」と言われる理由はここに集約されると言える。

 孫流投資の特徴をまとめると次のようになる。あくまで投資であり英アーム・ホールディングスのような完全買収は別になる。

 将来有望だと見たベンチャー企業に出資を通じて資本関係をつくる。ただし、孫がより重視するのは「同志的結合」だ。経営者同士の信頼関係と言い換えられるだろう。

 信頼関係を結ぶためには長期間の資本関係が前提となる。ソフトバンクの株式保有期間は平均で13年半に及ぶ。

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