2019年8月22日(木)

伸びる直球、筒香もうなる DeNA今永昇太(上)

2017/3/12 6:30
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2月、沖縄・宜野湾での春季キャンプ。日本代表でも4番を務めるDeNAの主砲・筒香嘉智(25)はフリー打撃で対戦した今永昇太の直球を「すごい球。伸びがあって素晴らしい」と絶賛した。元中日の200勝左腕、山本昌広(51)も「いま、日本の左投手で一番空振りを取れる直球」と高く評価する。

欲を出さないフォームが理想だ

欲を出さないフォームが理想だ

駒大からドラフト1位で入団した昨年、ルーキーでは最高となる8勝(9敗)、防御率2.93の成績を残し、135回1/3を投げて136の三振を奪った。9イニングあたりの奪三振率9.04は100回以上投げた先発投手の中ではセ・リーグ3位。左投手に限れば和田毅(ソフトバンク)の8.67を抑えて両リーグで最高だった。

身長180センチ弱と投手では小柄な部類。平均140キロ台半ばの球速は、最速165キロの大谷翔平(日本ハム)を筆頭に150キロ投手が目白押しの昨今、傑出してはいない。それでも「腕の振りが緩まず、スピンが利いているから、初速と終速の差が少ない。数字に換算しにくいキレや伸びに今永の魅力がある」。DeNA投手コーチの木塚敦志(39)は話す。

勝てる投手へ「外角低め」磨く

本格派、技巧派を問わず、直球は投手の顔であり、生命線だ。分かっていても打たれないストレートにはそれだけでファンがつく。昨季前半、突出した成績ではなかったのに球宴のファン投票では菅野智之(巨人)に次ぐ2位につけた。

直球を投げる時に意識していることを今永は「空振りやファウルを狙わないこと」と言う。130キロぐらいしか出ないように見えるフォームから140キロが来るから打者は差し込まれる。「僕の場合、空振りを取りたいといった欲が出て140キロのフォームになってしまうとダメ。いかにリラックスして投げられるかを常に考えている」。打者が気付いた時には斬られている。そんな直球が理想だ。

今年のキャンプのテーマも直球のレベルアップに置いた。具体的には外角低めへの制球力。「打ってもファウル、最高でも単打にしかならないボール」だ。プレートの一塁側を踏み、右打者の内角に投げ込む左投手特有の「クロスファイア」は昨年の活躍を支えた。その半面、角度をつけにくく、目標もない外角への制球には苦手意識があり、痛打の記憶も少なくない。

「去年は内角を多く使ってベース板を広く見せることを考えた。でも、同じ攻め方が2年目も通用するとは思わない。勝負どころで"ケガ"をしないのが勝てる投手。外角低めを生命線に規定投球回数に到達したい」

昨季、好投しながら勝てない試合が多かった一因は16本を数えた被本塁打にあった。避けられる一発に泣いたのも一度ではなかった。

持ち前の小気味よさや爽快感を失うことなく、代償のポカをいかに減らすか。配球の原点ともいわれる「外角低め」へのこだわりは「勝てる投手」への決意表明ともいえる。

(敬称略)

〔日本経済新聞夕刊3月6日掲載〕

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