ノルウェー基金、日本企業から引き揚げ

2017/3/3 6:30
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二酸化炭素(CO2)を多く出す石炭産業から投資を引き揚げる「ダイベストメント」の動きが欧州を中心に台頭、ノルウェー政府は政府年金基金の運用先から除外する59社のリストを公表した。日本企業5社も含まれる。ノルウェー国会の財務・経済委員会で新たな動きを主導したトーステン・ゾルバーグ議員(現在野党の労働党所属)に聞いた。

トーステン・ゾルバーグ ノルウェー国会議員

トーステン・ゾルバーグ ノルウェー国会議員

――投資引き揚げを決めた経緯は。

「ノルウェー国会は2015年、政府年金ファンド法に基づき年金基金(時価総額約9千億ドル)から石炭関連産業に投資しない方針を決めた。これを受け、ノルウェー財務省は基金を管理するノルウェー中央銀行執行委員会に対し、収入の30%以上を石炭関連の事業から得ている企業を投資先リストから除くよう指示した」

「委員会は投資先に情報開示を求め投資を引き揚げる59社のリストを示した。また30%の基準を超えているものの近い将来に改善が期待できるため観察下に置く企業11社を選んだ。引き揚げリストには中国電力北陸電力四国電力沖縄電力Jパワーの5社が、観察下には九州電力東北電力が含まれる」

――引き揚げた金額はどのくらいか。日本企業からも引き揚げたのか。

「16年の運用成績に関し報告が未公表なので金額は把握していない。ただ方針を決めた時点では総額で100億ドル程度になると推定していた。(日本企業からも)すでに引き揚げた」

――情報開示は円滑だったか。

「一般論だが、企業には気候変動に関連した財務リスクをもっと積極的に開示してもらいたい。金融安定理事会の作業部会が昨年末に気候変動リスクの開示の重要性を強調した報告書をまとめたが、長期的にみて気候変動が企業経営にもたらす影響は大きい。投資家には強いニーズがあると企業に知ってもらいたい」

――国際枠組み「パリ協定」の発効で気候変動対策への機運が高まる一方、英国の欧州連合からの離脱や、対策に消極的な米新政権の誕生で機運がそがれる面もある。

「2つの出来事は気候変動をめぐる『景色』を変えた。この問題でどの国が主導権をとるのか。これからは中国やインド、あるいは日本が行動すべきかもしれない」

――日本政府は成長戦略の一環として石炭火力発電所の輸出を後押ししている。

「ノルウェーにもジレンマがある。ノルウェーは石油・天然ガスの輸出国で、強い石油関連産業が存在する。国内産業を支援すべきだとの意見は当然あり、激しい論争が今もある。現在、政府は石油産業に事業転換を促している。これまで培ってきた海上石油基地の建造技術を洋上風力発電に生かすなど、新しいビジネスへの展開を助けるプログラムを設けている」

(聞き手は編集委員 滝順一)

[日経産業新聞 3月3日付]

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