対話型ロボ開発のMJI、AI磨いて世界狙う

2017/3/2 6:30
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MJI(東京・港、トニー・シュウ社長)が開発する人工知能(AI)搭載のコミュニケーションロボットはテーマパークのレストランなどで活躍している。相手に合わせて情報提供や会話ができ、商業施設での接客や高齢者の見守りなど幅広い用途が期待される。実践の場でAIの機能を磨いて世界展開を狙う。

対話型ロボット「タピア」を開発するトニー・シュウ社長(右)と永守代表取締役

対話型ロボット「タピア」を開発するトニー・シュウ社長(右)と永守代表取締役

「タピア、今日の天気を教えて」

「こんにちは。今日は曇りのち晴れです」

MJIのコミュニケーションロボット「タピア」は天気やニュースなど様々な情報を伝えて対話する。話の内容やカメラで捉えた映像から相手の顔や名前、誕生日などを認識。相手の接し方によって応答を変化させる。知らない言葉で3度話しかけられると「この言葉を覚えてもいいですか」と答え、言葉を覚える。

外見は卵形で、上部に搭載した液晶画面に顔や画像を表示する。手足はないが、350度回転して周囲を観察する見守り機能を備える。一定期間、利用者を認識できないと、あらかじめ登録した家族などに専用のスマートフォン(スマホ)アプリで通知する。

「スマホに不慣れな高齢者の生活を助ける製品を作りたかった」。シュウ社長は開発の狙いを説明する。小さな画面を指で操作するスマホと違い、タピアは話しかけると応答する。内蔵カメラに抵抗を感じる人もいるため、愛嬌(あいきょう)のある表情で親しみを持てるようにした。

共同創業者の永守知博代表取締役が「他のロボットにない機能」と自負するのはじゃんけんだ。画像認識の技術を使い、手の形でグー、チョキ、パーを読み取り勝敗を判定する。「たかがじゃんけんと思われるだろうが、高い技術力が必要だ」

エイチ・アイ・エス(HIS)子会社のハウステンボス(長崎県佐世保市)は運営するテーマパーク内の「変なレストラン」の全テーブルにタピアを配置している。ホール係として顧客の話し相手をし、パーク内のイベント紹介や天気予報、占いなどを提供。着席管理やテーブル清掃の要求といった仕事もこなす。

同社が15日に千葉県浦安市で開業するロボットホテル「変なホテル」全客室への導入も決まっている。客室内の家電制御などに使われる予定だ。NTT東日本、西日本とは光回線の顧客にタピアを割引料金で利用できるサービスを始める。

個人向けにはインターネット通販で販売。1台約10万円でこれまで個人と法人を合わせて1000台強を販売した。

MJIはシュウ氏と永守氏が2015年7月に設立した。永守氏は日本電産を1兆円企業に育てた永守重信会長兼社長の次男だ。大学卒業後、富士通や日本電産グループで技術者として働き09年に独立。電気関連の商社を経営するなかでシュウ氏と「ロボットの可能性」で意気投合した。

2月にはトヨタ自動車などが出資しスパークス・グループが運用する「未来創生ファンド」や個人投資家から総額5億6400万円の資金調達を実施した。調達資金を使い注力するのがロボットの頭脳や目に相当するAIの視覚機能の開発だ。AIに膨大な画像を読み込ませ人間の様々な行動パターンを学習させる。じゃんけんはそれを具体化した機能の一つだ。

海外向けに英語版タピアも開発。血圧や心拍を測定する健康サポート機能を搭載する予定だ。1月に世界最大の米家電見本市に出展すると「世界各国から多くの引き合いがあった」(永守氏)。

MJIは研究開発やマーケティングに集中し、生産は中国の工場に委託する。「品質管理を徹底し、高品質のロボットをきちんと量産できるのが我々の強みだ」と永守氏は強調する。父の重信氏が経営する日本電産もロボット分野に力を入れており「最近は話をすると興味を持ってもらえるようになった」と笑いつつ、「最初からグローバルに展開し、10万台の販売を目指す」と意気込む。

(企業報道部 鈴木健二朗)

[日経産業新聞 3月2日付]

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