NEC、シンガポールでAI磨く 研究者2・5倍に

2017/2/28 8:28
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NECはシンガポールの研究所で人工知能(AI)の研究者を2.5倍に増やす。現地での社会実験を通じて先端的なAIを開発し、製品やサービスとして世界市場に売り込む。公共交通機関の安全な運行や、治安の維持にAIを役立てる。

シンガポール政府は「スマートネーション(賢い国家)」を標榜し、民間のIT(情報技術)を活用した安全で効率的な国づくりに取り組んでいる。街頭の監視カメラ映像や、地下鉄やバスの乗降情報など、日本ではプライバシーの観点から公共部門が開示に二の足を踏むようなデータを含めて、様々な情報を

危険な運転手を検知できるNECのAIを導入したSMRTのバス

危険な運転手を検知できるNECのAIを導入したSMRTのバス

積極的に提供している。

外資の誘致を担うシンガポール経済開発庁(EDB)のキレン・クマー副次官は「産業界と手を組んでイノベーションを加速させる」と意気込む。貴重なデータを入手できる環境が整うことから、米IBMや中国・百度(バイドゥ)など各国のIT企業がこぞってシンガポールに研究所を構える。

NECもその1社だ。クマー副次官は「NECとは安心・安全な社会づくりで協力関係にあり、同社の力を借りて映像、音声、匂い、気温などのデータを解析している」という。

NECがデータ解析の中核に位置づける技術がAIだ。シンガポールの公的機関から提供を受けたデータを基に、不審人物を発見したり危険を予測したりするAIを開発している。NECシンガポール研究所のマービン・チアー所長は「現在10人いるAI研究者を、2018年度までに25人に増やす」と話す。人材の増強で研究を加速させるという。

すでにシンガポールの地下鉄駅にAIを使った映像解析システムや異臭センサーを導入し、危険を検知する実験を実施した。シンガポールの公共交通サービス会社SMRTコーポレーションには事故の危険性が高いバス運転手を特定するAIを提供した。運転履歴や運転動作のデータを基に特定する。会社側はAIの判断に従って運転手を呼び出し、安全運転の研修を受けさせて現場に戻している。

NECはシンガポールに限らず、日米欧・中国を含めて計9カ所にある研究所で、合計220人いるAI研究者を18年度に300人まで増やす計画だ。

チアー所長は、「各国にある研究所の成果を集約して、製品に仕立てるのがシンガポール研究所の役割だ」と強調する。シンガポールで得られる豊富なデータを活用しながら、世界各国の研究所で開発したAIに磨きをかけ、世に送り出すという。

NECは17年3月期の連結業績で減収減益を予想する。成長領域を正しく見極め、集中投資することが業績の回復には欠かせない。

NECはAI関連に集中投資することを決めている。各国で研究したAIの実用化を担うシンガポール研究所の責務は重い。

[日経産業新聞 2017年2月28日付]

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