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炎の接近戦、12連続KO ボクシング・比嘉大吾(上)

2017/3/4 6:30
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 タレントとして大活躍中の具志堅用高といえば、いまだ破られていない13連続防衛の元世界ライトフライ級チャンピオン。今の“芸風”からは想像もできないが、現役時代は猛禽(もうきん)にも例えられた攻撃的スタイルで昭和50年代のお茶の間を熱狂させた。

具志堅氏ほれ込む昔気質のファイト

 そのレジェンドが東京でジムを興して20年余り。「お客さんが喜ぶ、我々の時代と同じボクシングをしている」とほれ込む若者がいる。同じ沖縄出身の21歳、比嘉大吾。一度でもその試合を見たら、具志堅が語る言葉の意味が分かる。

「試合が怖い」と比嘉(左)。一刻も早く終わらせたいという一心が勇猛果敢な攻撃を生む

「試合が怖い」と比嘉(左)。一刻も早く終わらせたいという一心が勇猛果敢な攻撃を生む

 ゴングと同時にコーナーを蹴って飛び出していく。得意は接近戦。相手との距離をつぶすと左ジャブからボディー、フックとつなげ、さらにアッパー。打ち出したら止まらない。「行けっ、と声を出したときには、もう行っている」と語るのはトレーナーの野木丈司だ。軽量のフライ級ながらデビューから12連続KO中。「聖地」後楽園ホールをいま最も沸かせる男である。

 戦いぶり同様、比嘉の言葉は端的だ。「頭にあるのは毎ラウンド勝つんだということ。ポイント計算したことがないんです。『流す』というのができない。だって、油断して1発もらったら全部パーじゃないですか」。アマチュア仕込みのスマートな選手が増えるなか、昔気質のファイトがファンの共感を呼ぶ。

 その突破力を満天下に知らしめた出世試合がある。2015年7月、プロ7戦目にして初のタイトルマッチ(WBCユース王座)でタイに遠征した。タイといえば、日本選手が世界戦で22戦白星なし(暫定王座戦を除く)という鬼門。酷暑、地元選手への大声援、興行の世界ならではの手練手管が立ちはだかる。しかも相手は14戦全勝のホープ。日本の関係者には「やめた方がいい」と言われた。

 気温35度の屋外リング。「1ラウンドから倒しにいったのはあの試合だけ」と振り返る。序盤から攻めたが、4回終了時の公開採点は審判2人が相手優勢とつけていた。ハナから判定で勝とうとは思っていなかった。中盤から攻勢を強め、7回に連打からの左フックでタイ人を大の字にさせた。「僕らが思っている以上にすごい選手だと気づき始めた試合」と野木は語る。

 昨夏には東洋太平洋フライ級王座を獲得、世界ランキングも上位につける。その勢いは遮るものがないようだが、勇猛果敢なボクシングの裏側に意外な心情も隠している。

 「怖いんです。試合前はジェットコースターで上がっていくような気持ち。もう逃げられないって」。早く終われるなら一刻も早く終わらせたい。その一心が先制攻撃となり、チャンスを逃さぬ詰めの鋭さにつながる。実は具志堅も怖がりで知られた。相手が倒れてもレフェリーが止めるまで殴り続けた猛攻は、恐怖心をパワーと殺傷本能に転化できたからこそだった。

 そんな強者の匂いがこの若者からも漂ってくる。(敬称略)

〔日本経済新聞夕刊2月27日掲載〕

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