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テスト入団の楽天・久保 背番号91からの再出発

2017/2/28 6:30
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まだやれる。2度目の戦力外通告を受けてもあきらめることはなかった。巨人で活躍して昨年、DeNAで戦力外となった久保裕也投手(36)は楽天のキャンプにテスト生として参加。16日の韓国・ハンファ戦に2番手として登板すると、1回を1安打無失点に抑えて合格を勝ち取った。試合後、一度はタクシーで球場を去ったが、宿舎に戻る途中で連絡が入ってUターン。星野仙一球団副会長から合格を伝えられると「涙が出るくらいうれしかった」と、喜びをかみしめた。

■2年連続戦力外、現役への執念

久保は楽天のテストに現役続行最後のチャンスをかけた=共同

久保は楽天のテストに現役続行最後のチャンスをかけた=共同

2002年に自由獲得枠で巨人に入団した久保は1年目から先発とリリーフの両方をこなし、38試合で投げて6勝7敗の成績を残した。05年はセットアッパーとして64試合に登板。07年から09年にかけて低迷したが、10年にはリーグ最多の79試合で8勝1敗1セーブで32ホールドの記録を残した。しかし12年以降は右肘の故障などに苦しみ、15年は一軍登板が一度もなく戦力外通告を受け巨人を退団。DeNAに移籍したものの、9試合に登板して防御率5.25に終わり、2年連続で戦力外通告を受けた。

新たな働きの場を求めて昨年11月には12球団合同トライアウトに臨んだ。このときは打者3人と対戦して被安打1に終わり、どこからも誘いがかからなかった。楽天のテストは現役続行最後のチャンスだった。

合否のかかったマウンドは「とにかく緊張した」という。その緊張がほぐれないうちに先頭打者にセーフティーバントを試みられる。意表を突かれて無死一塁。次打者は一塁ゴロに仕留めて一死二塁。最後は三振と三盗を狙った走者の盗塁死で無失点に抑えたが、自身が納得できるような投球内容ではなかった。試合直後には「自分らしさを出し切れるように投げた」としつつも、「結果(無失点)は大事だけれど、プロ野球の世界に長いこといるので内容も大事。しっかりした内容は出せなかったかな」と複雑な表情を浮かべていた。

星野球団副会長、梨田昌孝監督ら首脳陣は久保の豊富な経験がチームにプラスになると判断した。ただ、合否の通知は宿舎に戻ってからのはずだった。だが、自身もテストを受けた経験がある与田剛コーチが即座に久保に知らせるよう進言した。合否の連絡を待つ間の何とも落ち着かない気持ちを思いやった。合格を告げられたサブグラウンドで梨田監督、星野副会長と固い握手をした久保は「内心、きょうの出来を評価すると厳しいかなとあきらめた部分もあった」と打ち明けた。

■星野副会長「あいつの経験買った」

星野副会長は「うちの投手陣は若いからあいつの経験を買った。巨人で抑えをしたこともある。投げるだけでなく、ほかのこともアドバイスしてもらいたい」とし、梨田監督も久保は3日連続でブルペン入りして、この日を迎えるなど、精力的に投球練習を続けていたことを評価しつつ「テクニック、うまさを持っている。若い選手の手本になってもらいたい」と期待した。

13年に巨人を破って日本一に輝いて以降、楽天は絶対的なエースだった田中将大が米ヤンキースに移籍したこともあって6位、6位、5位と低迷が続く。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表に選ばれた則本昂大や松井裕樹という軸になる投手はいるのだが、脇役となる選手が心もとない。中でもフリーエージェント(FA)で西武から岸孝之が加入し、釜田佳直、安楽智大といった若手が育っている先発陣に比べて気がかりなのが救援陣だ。

昨季は先発陣の防御率3.91に対し、4.53ともろさをさらけ出した。今季は巨人からトレードで小山雄輝や新外国人のハーマンが加入した。久保も含めた候補の中から八回を任せられるセットアッパーを誰に任せ、抑えの松井裕につなぐ「勝利の方程式」をいかに構築するか。巻き返しを図る楽天にとって大きな課題になる。

久保は「これまでいろいろな場面で投げさせてもらっているので、その経験を生かして粘り強く投げていきたい」と表情を引き締める。背番号91、年俸600万円(推定)からの再出発。「皆さんは期待されていないでしょうけれど、いい意味で裏切れるように頑張ります」。合格後の23日にはヤクルトとの練習試合に登板し1回1安打無失点で抑えた。崖っぷちからはい上がったベテランはかつての輝きを取り戻せるか。

(馬場到)

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