2018年8月22日(水)

[FT]ロシアのTV局から突然消えたトランプ報道

FT
2017/2/21 14:11
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Financial Times

 ロシアの日曜夜の主力ニュース番組はこの数カ月、自国のプーチン大統領よりもトランプ米大統領を持ち上げる報道に、より多くの時間を費やしてきた。

 だが、トランプ氏は、先週、フリン国家安全保障担当大統領補佐官をロシアとの接触問題で解雇し、ロシア政府に不快感を与える発言をしてからはロシアのテレビからほぼ完全に姿を消した。

 ロシアのペスコフ大統領報道官は先週、国民の8割が情報源とするテレビ局に対し、ロシア政府がトランプ氏を称賛する内容の報道を控えるよう命じたという報道は「偽ニュースだ」と述べた。

 だが、トランプ氏であふれていたメディアの報道が突如方向転換をしたことから、同氏は多くのロシア人が期待したほど迅速に米ロ関係を再構築できる人物ではないとの認識が高まっていることがうかがえる。

 インタファクス通信によると、ロシアメディアは1月にはプーチン氏よりもトランプ氏の報道に力を注いだ。これは以前は考えられなかったことだ。だが、国営通信社トップのドミトリー・キセリョフ氏が司会を務める毎週放送のニュース番組「ベスチ・ニェジェーリ」の19日の放送では、トランプ氏についての報道はほとんど何もなかった。キセリョフ氏が息継ぐ間もないほどトランプ氏を取り上げる様子に、極右議員のグループが、キセリョフ氏が自身の「トランポマニア(トランプ氏への熱狂)」報道でプーチン氏をおとしめていると抗議する事態を招いたほどだ。

 だが、同氏は先週末の放送では、トランプ氏に同情する手短なコメントをいくつか述べたにとどまった。トランプ氏は米メディアとの対立のせいで「腰を据えて仕事に臨めていない」としたうえで、「米メディアは、ロシアとの関係正常化に向けたいかなる動きも、ロシア政府が背後で操っていると自動的に解釈する。その点においては、トランプ氏が名指ししたメディアは米国民の敵だ」と述べた。

 国営テレビの主力政治討論番組「ウラジーミル・ソロフィエフのサンデー・イブニング」で、同国の政治家らはほとんどトランプ氏の名前を出さずに北大西洋条約機構(NATO)がロシアに与える脅威について非難した。これはロシア政府のおはこのテーマだ。軍需産業を担当するロゴジン副首相は、同国が「米国の弾道ミサイル防衛を今日、あす、あさってにも突破することが可能な」新たな弾道ミサイルの開発を行っていると述べた。

■友にはなれない米国

 トランプ氏のロシアに対する姿勢は先週、明らかに変わった。ロシア政府がウクライナに「クリミアを返還する」ことを望むと米政府が言い放ったのだ。このことは、高まっていた、同氏がロシアの多くの人々が期待したような親ロシアの大統領にはならないとの見方を決定的にした。だが、ペスコフ氏は、ロシア政府はトランプ氏に対し「いかなる過分な幻想も抱いたことはない」としたうえで、「そのため、幻滅することなど何もない」と述べた。

 最も早い段階からトランプ氏を支持し、同国メディアの先頭に立って同氏を応援していた民族主義者のウラジーミル・ジリノフスキー議員でさえも、米大統領選直後に自身が主催した議会でのシャンパンによる祝杯について、トーンダウンした。

 同氏は大衆紙コムソモルスカヤ・プラウダに対し「トランプ氏が我々の友になると期待して乾杯したと思っているのなら、それは見当違いだ」としたうえで、「米国は永遠に我々の同盟国にはなれない。両国は互いに競い合っており、互いを常に警戒している」と語った。

By Max Seddon

(2017年2月21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2017. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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